安芸高田市サッカー公園

安芸高田市サッカー公園：サンフレッチェ広島の練習拠点と地域スポーツの核

広島県安芸高田市吉田町に位置する安芸高田市サッカー公園は、Jリーグ・サンフレッチェ広島のトップチームとユースチームの主要練習拠点として機能する、広大なスポーツ施設です。かつては「吉田サッカー公園」として知られていましたが、2022年4月よりサンフレッチェ広島が指定管理者となり、現在の名称に改称されました。

設備と環境

公園内には、天然芝2面（一体型）とロングパイル人工芝1面、計3面のサッカーフィールドが整備されています。各フィールドのサイズは105m×68mと、公式戦にも対応可能な広さです。

クラブハウスは、トレーニングジムや会議室に加え、サンフレッチェ広島の歴史やグッズを紹介するミュージアムも備えています。かつては一般開放されていたトレーニングジムですが、2022年からはサンフレッチェ関係者専用の利用となっています。

クラブハウスは鉄骨鉄筋コンクリート構造の地上2階建てで、延床面積は1,312㎡です。照明設備は整っていますが、観客席や得点板はありません。見学者はベンチを利用することになります。駐車場は約160台分が用意されています。

サッカー公園の敷地は18.5ha、標高は288mと、自然豊かな環境に恵まれています。敷地内には遊具付きの憩いスペースも設けられ、隣接地には安芸高田市温水プールや自然公園も整備されているため、地域住民の憩いの場としても活用されています。

交通アクセスと課題

一方で、交通アクセス面には課題があります。広島市内からはかなり離れており、公共交通機関でのアクセスは不便です。最寄りのJR芸備線向原駅からバスを利用する場合は、本数が少なく、バス停から公園まで徒歩15分ほどかかるため、時間と労力を要します。タクシー利用も可能ですが、特に帰りのタクシー確保が困難な場合があります。

さらに、山間部に位置することから、冬期は積雪の影響を受けやすく、閉鎖される可能性もあります。簡易観客席がないため、練習や試合観戦の視界は必ずしも良くありません。これらの理由から、サンフレッチェ広島は、必要に応じて広島広域公園陸上競技場などの施設も練習場所に利用しています。

歴史と地域貢献

サンフレッチェ広島の前身であるマツダSC時代、練習拠点はマツダの福利厚生施設が利用されていましたが、各施設が分散しており不便さが課題でした。

チーム名の由来にもなった毛利元就ゆかりの地である安芸高田市（旧吉田町）との交流をきっかけに、1993年、吉田町がサッカー公園の整備に着手。若者定住促進の一環として、ユースチームの練習拠点、そして将来的なトップチーム練習拠点の確保を目指しました。1998年に「吉田サッカー公園」が開場し、1999年からトップチームも練習を開始しました。

その後、人工芝の改修や温水プールの建設など、段階的な施設整備が行われ、2004年の市町村合併により安芸高田市所有となりました。2022年、サンフレッチェ広島創立30周年を機に、練習環境の充実と地域との連携強化を図るため、サンフレッチェ広島が指定管理者となり、現在の名称に改称されました。

安芸高田市サッカー公園は、サンフレッチェ広島の成長を支える重要な拠点であると同時に、地域住民のスポーツ振興にも貢献する多機能施設として、その役割を担っています。しかし、アクセス面などの課題も残っており、今後のさらなる改善が期待されます。

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