安藤広近

安藤広近について

安藤広近（あんどう ひろちか、1835年8月10日生まれ）は、江戸時代末期から明治時代にかけて活躍した浮世絵師であり、日本画家です。彼は初代歌川広近の門人であり、その養子として絵の技術を磨きました。広近は、常陸国笠間郡に生まれ、江戸の芝三田台裏町を拠点に活動していました。

生涯と経歴

広近は弘化3年（1846年）に初代広近の養子となり、彼の指導を受けながら約10年間、浮世絵技術を習得しました。万延元年（1860年）から明治時代にかけては、横浜絵や肉筆浮世絵の制作に携わりました。特に、二代目広近を名乗ったのは初代の死後であり、万延元年には「横浜岩亀楼全図」という作品を制作し、広く知られるようになります。

しかし、明治初年に入ると、養蚕業の振興により浮世絵の需要が減少し、彼は新宿養蚕所で働きながら、美術活動を続けました。明治12年（1879年）には、海軍病院にて療治の雛形を描き、生活を支えるための活動を続けました。

芸術家としての活動

広近のキャリアがさらに広がったのは、明治17年（1884年）の第二回内国絵画共進会で「安藤為吉」として出品し、褒状を受賞したことが契機でした。その後、明治18年の第一回鑑画会では「安藤広近」と名乗り、「秋景山水」や「伯夷叔斎」を出品しました。

また、彼はフェノロサの要請を受けて、住吉広賢や狩野友信とともに古画の模写を数多く手掛け、古美術の調査にも携わりました。明治20年（1887年）の工芸品共進会でも褒状を受賞し、明治22年（1889年）には東京美術学校に雇われるなど、教育者としても活躍しました。

教育者としての貢献

安藤広近は、明治23年の第三回内国勧業博覧会において「美女秋国逍遥ノ図」を出品し、三等妙技賞を獲得しました。その後、明治24年（1891年）からは東京美術学校の技手として、明治26年の官制改正まで務め、次世代のアーティストたちに影響を与えました。

作品一覧

• - 錦絵:「横浜岩亀楼全図」

大判3枚続、万延元年制作。

彼の作品は、浮世絵の伝統を継承しながらも新たな表現を追求していました。安藤広近の功績は、ただ芸術制作にとどまらず、教育活動や古美術の調査においても大きく寄与した点にあります。彼の活動を通じて、浮世絵や日本画の発展に寄与し続けました。彼の死後の具体的な年は不明ですが、彼の影響は今も心に刻まれています。

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