横浜絵

横浜絵とは

横浜絵（よこはまえ）は、江戸時代末期から明治時代初期にかけて制作された浮世絵の一様式で、横浜を題材としたものを指します。別名として「横浜浮世絵」「ハマ絵」「横浜錦絵」とも呼ばれます。

概要

開港後の横浜は、異国情緒あふれる風景が広がり、多くの人々の好奇心を刺激しました。横浜絵は、その横浜の風景や異国人の風俗などを中心に描いた錦絵の総称であり、およそ800点以上が現存しています。万延元年（1860年）と文久元年（1861年）の2年間が最も流行した時期であり、短期間に爆発的に生産されました。

横浜絵は、長崎絵と同様に異国趣味を題材としていましたが、横浜が江戸に近かったことから、江戸の版元が積極的に制作に関わりました。版元の多くは江戸に拠点を置き、横浜の情報を基に浮世絵師に制作を依頼しました。

特徴

横浜絵は、異国風物の珍しさや、新しい時代への期待感を反映した、清新で活気に満ちた作風が特徴です。当時の人々は、これらの絵を通して、遠い異国の文化や生活に触れ、知識欲や好奇心を満たしていました。

中国の版画が異国風物にほとんど関心を示さなかったのとは対照的に、日本人は異人や異国風物に対して旺盛な好奇心を示しました。この点も、横浜絵が多くの人々に受け入れられた要因の一つと言えるでしょう。

著名な絵師たち

横浜絵を手がけた浮世絵師は数多く、二代目歌川広重、二代目歌川広近、歌川貞秀といったベテランから、歌川国芳の門下である歌川芳員、歌川芳虎、落合芳幾、歌川芳盛、月岡芳年、歌川芳艶、歌川芳富、歌川芳豊、歌川芳春など、多くの絵師が名を連ねています。また、豊原国周も一時的に横浜絵の制作に携わりました。

五姓田芳柳や中山年次などは、写真をもとに陰影をつけた写実的な表現を取り入れ、肖像画や風俗画を描きました。これらの作品も横浜絵の一種とされています。

関連事項

横浜絵は、開化絵、和洋折衷、明治維新、文明開化、脱亜入欧といった、当時の社会や文化の動向と深く関わっています。これらのキーワードは、横浜絵を理解する上で重要な手がかりとなるでしょう。

まとめ

横浜絵は、幕末から明治初期という短い期間に、日本の社会や文化が大きく変化する中で生まれた уникальный な浮世絵の様式です。異国情緒あふれる横浜の風景や、新しい時代への希望を反映したその作品群は、当時の人々の好奇心や知識欲を満たすとともに、日本の美術史においても重要な位置を占めています。

もう一度検索