安達英三朗

安達 英三朗（あだち えいざぶろう）

安達 英三朗は、1914年10月6日に神奈川県横浜市で生まれ、日本の映画史に足跡を残したプロデューサーです。1992年4月3日にその生涯を閉じました。

キャリアの形成期：東宝と新東宝での道のり

安達のキャリアは、1937年に東宝映画配給株式会社に入社したことから始まります。当時の日本映画界は大きな変革期を迎えており、彼はその渦中で活動を開始しました。その後、会社が発展し東宝株式会社として発足すると、会計課長という重要な役職に就き、経営の一端を担うことになります。

終戦後、東宝争議などを経て、1947年に新東宝株式会社が設立されると、安達もこれに参画し、監査役に就任します。そして1949年には取締役企画部長となり、会社の企画部門を統括する立場となりました。この経営畑での経験は、後にプロデューサーとして作品を手がける上で、企画力や予算管理能力といった面で大きな財産となったと考えられます。

プロデューサーとしての躍進

経営の中枢でキャリアを積んだ安達が、映画製作の最前線であるプロデューサーとして活動を開始するのは、1952年からのことです。この転身により、彼は数々の話題作、ヒット作を生み出すことになります。

プロデューサーとしての安達は、コメディ、青春ドラマ、社会派風刺など、多岐にわたるジャンルの作品を手がけました。特に、当時の世相を反映したサラリーマン喜劇や、植木等を中心とした「クレージー映画」シリーズ、あるいは「落語野郎」シリーズなど、大衆娯楽作品でその手腕を発揮しました。これらの作品は、高度経済成長期の日本社会の活気や世相を捉え、多くの観客に支持されました。彼は単に企画を進めるだけでなく、俳優や監督といった才能を結びつけ、作品を形にする上で中心的な役割を果たしたのです。

彼がプロデュースした代表的な作品には、以下のようなものがあります。

1955年 - 「青春怪談」
1959年 - 「上役・下役・ご同役」
1959年 - 「恐るべき火遊び」
1961年 - 「背広三四郎 男は度胸」
1961年 - 「背広三四郎 花の一本背負い」
1961年 - 「新入社員十番勝負」
1962年 - 「続新入社員十番勝負 サラリーマン一刀流」
1962年 - 「ニッポン無責任時代」
1963年 - 「日本一の色男」
1963年 - 「クレージー作戦 くたばれ!無責任」
1964年 - 「無責任遊侠伝」
1966年 - 「落語野郎 大脱線」
1966年 - 「落語野郎 大馬鹿時代」
1967年 - 「落語野郎 大爆笑」
1967年 - 「落語野郎 大泥棒」
1967年 - 「爆笑野郎 大事件」
1968年 - 「若者よ挑戦せよ」
1976年 - 「おしゃれ大作戦」

これらの作品リストからも分かるように、安達は1950年代から1970年代にかけて、日本の映画界で精力的に活動し、多くの人気シリーズや単独作品を世に送り出しました。経営の視点と製作現場の情熱を兼ね備えたプロデューサーとして、彼の功績は日本映画史において重要な一頁を占めています。

もう一度検索