安釐王

安釐王の生涯とその治世

安釐王（あんきおう）は、中国の戦国時代における魏の君主で、君主としての在位は紀元前276年から紀元前243年までの約33年間です。彼は6代目の君主であり、王としては4代目にあたります。安釐王の本名は圉（ぎょ）で、姓は姫、氏は魏です。彼の父は昭王であり、後の景湣王となる子供も持っています。

外的脅威と戦い

治世の初期、安釐王は隣国の秦からの侵攻に直面しました。特に、彼の4年目である紀元前273年には、華陽の戦いで秦の名将白起に敗北を喫し、魏軍は15万人もの死者を出す大惨事となりました。この敗北により、魏は政治的にも軍事的にも弱体化し、隣国の斉と楚はこの隙を突いて連合軍を編成し、魏に攻撃を仕掛けました。安釐王は、やむを得ず援軍を秦に求め、何とか連合軍を撃退しました。

信陵君との関係

安釐王の下には信陵君と呼ばれる優れた末弟がいました。信陵君はその才覚で知られ、国政に関わるべき存在でした。しかし、ある日の囲碁の際、国境からの烽火を見て安釐王は趙からの侵攻だと錯覚しましたが、信陵君は冷静に「趙王が狩をしているだけです」と指摘しました。このことにより、安釐王は信陵君に対する信頼と同時に、彼の権力を恐れるようになり、以後彼を国政に関与させたがらなくなりました。

韓の滅亡と秦との関係

安釐王は後に、秦と手を結んで韓を滅ぼし、かつて韓に奪われた領土の回復を試みました。しかし、重臣からの異論を受けてその計画は頓挫します。また、紀元前257年、秦軍が趙の首都邯鄲を包囲すると、安釐王は平原君の保障に応じて兵を派遣しますが、秦の軍事力を恐れるあまり進軍を許可しませんでした。

その後、信陵君は兄である安釐王の命令を偽って軍を指揮し、趙を救うことに成功しましたが、この行動が影響し彼は魏に戻れなくなりました。信陵君不在の魏は再度秦の攻撃を受けることになります。安釐王は信陵君に帰国を求め、最終的に彼は紀元前247年に魏に戻って上将軍となり、連合軍と共に秦軍を破る功績を収めました。

権力の変化と死

その後、信陵君がいる限り魏の安定を信じた秦は、安釐王を駆動する意図から讒言を行い、結果として安釐王は信陵君を疎んじるようになりました。信陵君は次第に引退し、歓楽にふける生活を送ることとなります。

安釐王は紀元前243年に死去し、太子の増が跡を継いで景湣王となります。その年に信陵君も死去しており、魏はその18年後に秦によって滅ぼされることになります。魏の王位に関わる権力闘争と、信陵君との関係は安釐王の治世の重要な側面でした。

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