宋元学案

書籍の概要: 『宋元学案』

『宋元学案』は、中国の宋代と元代に活動した儒学者に焦点を当てた学術史であり、黄宗羲によって着手され、全祖望が補修を行い、最終的には王梓材と馮雲濠によって完成されました。本書は全100巻から成り立ち、儒学の歴史を扱う際に必読の書とされてきました。黄宗羲の他の著作である『明儒学案』と並んで、その学問的価値が高く評価されています。

編纂の過程

黄宗羲は、『明儒学案』を完成させた後、宋代と元代の儒学を探求するために『宋元学案』に取り組みましたが、編纂途中で彼は亡くなりました。彼の意志を継いで完成を目指したのは息子の黄百家でしたが、彼もまた途中で亡くなり、最終的な編纂は孫の黄千人が担うことになりました。この過程で登場した全祖望は、黄千人からの依頼を受けて真剣に作業に取り組んでいきました。

全祖望は、4つの主要な増訂手法を用いて本書を編集しました。これには「修定」「補本」「次定」「補定」が含まれ、各手法のもとで全祖望は原本を改訂したり、新しい学案を立てたりしました。彼は全100巻の体系的な「序録」も追加しましたが、結局全祖望は本書を完成させることなく亡くなりました。その後、全祖望の弟子である盧鎬がこれを引き継ぎ、盧氏は全祖望の未完の稿本を元に出版を試みましたが、その夢は実現しませんでした。

その後、黄宗羲の玄孫である黄璋が、盧氏と全祖望の稿本を基にした版を出版しました。この版が、後の『宋元学案』の原本となりました。

完成とその後の出版

王梓材と馮雲濠は『宋元学案』の改訂を目指し、複数の版を比較しながら更なる校訂を行い、現行本が形成されました。彼らの作業は、道光時代に入ってから行われ、黄宗羲の死から80年近くが経過した後の出来事でした。この間に取り寄せたのは、早期の黄宗羲原本や全祖望の修補本、さらには他の重要な版でした。

王梓材らは、黄宗羲の原本とその後の全祖望の編集内容を明確に区別し、厳密な校訂を通じて本書の整備を進めました。王梓材たちが完成させた『宋元学案』は、馮雲濠の私財によって出版されたものの、アヘン戦争の影響で多くの版が失われてしまいました。その後、何紹基の支援のもとで再出版が試みられ、現行版の原本が循環しましたが、それもまた火事によって失われる運命となりました。

学術的特色

『宋元学案』は、内容の構成において特有の特徴を持っています。本書が資料収集に重きを置いているのに対し、黄宗羲の『明儒学案』は思想的分析に偏っています。このため、各学者の考証や史実が重視され、資料の網羅性が強調されているのです。学者の排列は道統（朱子学の正統性を示す系譜）を基に行われており、各学者の関係性が視覚的に示される工夫もなされています。

目次と収録人物

本書には多くの人物が収録されており、そのすべてを記載することはできませんが、主要な人物の名前を挙げる形式が取られています。また、内容の最後には荊公や蘇氏など、当時の注目すべき学者たちの略伝も含まれています。

関連項目

本書に関連する主な項目には、黄宗羲や全祖望、明儒学案、朱子学、道統論があります。これらの情報を通じ、早期の儒学の理念やその背景を探求する手助けとなるでしょう。

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