完全無罪

『完全無罪』

『完全無罪』は、大門剛明による小説で、2019年1月16日に講談社文庫から出版された作品です。物語の中心となるのは、誘拐事件の被害者から弁護士へと成長した主人公が、かつて自分を苦しめた犯人に立ち向かう姿を描いたヒューマンミステリーです。2024年7月7日よりWOWOWプライムでドラマ化され、主演として広瀬アリスが配役されました。

あらすじ

物語は、松岡千紗という若き弁護士が、21年前の少女誘拐殺人事件「綾川事件」の再審裁判を担当するところから始まります。この事件は千紗の過去とも深く結びついており、彼女自身が同時期に発生した別の少女誘拐事件の被害者だったのです。千紗は、この複雑な背景を背負いながら、再審に臨むことになりました。

千紗は10年の時を経て故郷の香川県に戻り、地元の法律事務所の弁護士、熊弘樹と共に当時の事件を徹底的に再調査します。調査を進めるうちに、全ての事件が同一の犯人によるものである可能性が浮かび上がり、調査は次第に緊迫したものになっていきます。彼女は、犯人の名を持つ平山聡史と対面することになり、その無罪を主張する彼との対話は千紗の内面的な葛藤を引き起こします。

一方、事件を担当していた元刑事の有森義男は、平山が真犯人であると堅く信じています。その信念に基づき、平山の無罪を疑い、千紗と共に戦う姿勢を貫こうとしています。この二人の弁護士と元刑事の複雑な対立と協力が物語を通して描かれ、法廷の緊張感を高めています。

登場人物には、松岡千紗以外にも、平山聡史、有森義男、熊弘樹、今井琢也、真山健一、池村敏恵など多彩なキャラクターが揃っており、それぞれの視点から事件が描かれます。特に、上司である真山健一の的確な助言や、仲間の熊弘樹の協力が、千紗の成長を助けていきます。

テレビドラマ

本作は、2024年の夏にWOWOWプライムで放送された連続ドラマとしても人気を博しました。主演の広瀬アリスは、千紗の強さと脆さを見事に演じ切り、視聴者から高い評価を得ています。また、北村有起哉が演じる平山聡史も物語の緊張感を一層引き立て、様々な感情が交差するストーリーを作り上げる要因となっています。

『完全無罪』は、正義、過去のトラウマ、そして人間の複雑な感情が交錯する作品です。法廷ドラマの枠を超えたヒューマンミステリーは、視聴者に強烈なメッセージを残します。事件の真相に迫る中で、千紗自身の成長や自己の正義を見つける旅も描かれているため、多くの人々に共感されることでしょう。

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