成立

成立（せいりつ）

成立とは、一般的に物事が出来上がる、すなわち完成することを意味します。本記事では、法律用語における「成立」について、その意味と適用範囲を詳しく解説します。

法律の成立

憲法においては、法律や予算が確定的に完成することを「成立」と呼びます。具体的には、法律案や予算案が両議院で可決された場合に、その法律や予算が成立したとみなされます。法律の成立日は、法律の施行期日を定める基準となることがあります。ただし、成立日を起点として施行期日が定められる例はごくわずかです。

法律が成立するまでの過程は以下の通りです。

1. 法律案の提出: 内閣や国会議員が法律案を国会に提出します。
2. 委員会審査: 提出された法律案は、まず各委員会で詳細な審査を受けます。
3. 本会議議決: 委員会での審査後、法律案は本会議にかけられ、採決が行われます。
4. 両議院の可決: 法律案が衆議院と参議院の両方で可決されると、法律として成立します。

衆議院と参議院で異なった議決がなされた場合は、両院協議会が開かれるか、または憲法の規定に基づいて衆議院の優越が認められる場合があります。

法律関係の成立

民法においては、当事者間に一定の法律関係が出来上がることを「成立」と言います。例えば、婚姻や契約などがこれに該当します。これらの法律関係の成立には、当事者同士の合意が不可欠です。

婚姻: 男女が夫婦としての身分関係を成立させるには、婚姻の意思表示を行い、戸籍法に基づいた届け出を行う必要があります。
契約: 当事者間の合意によって成立する法律行為であり、売買契約、賃貸借契約、雇用契約など様々な種類があります。契約が成立するためには、原則として当事者間の意思表示の合致が必要です。

法人の成立

民法では、団体や機関が法律上存在するに至ることも「成立」と表現します。会社や社団法人、財団法人などが法人として成立するには、法律で定められた要件を満たす必要があります。

法人の成立には、一般的に以下の要件が必要とされます。

1. 設立行為: 定款の作成や出資など、法人を設立するための基本的な行為を行います。
2. 設立登記: 法務局への登記を行うことで、法人が正式に成立し、権利義務の主体となります。法人の成立要件として、登記は非常に重要な意味を持ちます。

登記によって法人は、社会的に認知され、取引の安全性が確保されます。また、法人の代表者や所在地などが公示されることで、利害関係者は法人の情報を容易に取得することができます。

まとめ

「成立」という言葉は、法律分野において様々な意味で使用されます。憲法における法律の成立、民法における法律関係の成立、そして法人の成立と、それぞれの文脈で異なる意味合いを持つことを理解しておくことが重要です。

参考資料
* 法令用語事典(学陽書房、ISBN 4-313-11308-8)

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