完顔従恪

完顔従恪（かんがん じゅうかく）は、金朝の第7代皇帝である衛紹王の嫡子として生まれました。生年は不明ですが、1233年5月30日に処刑されています。女真名は記録に残っていません。彼の姉は、モンゴルに嫁いだ哈敦（ハトン）として知られています。

生涯

従恪は皇太子時代に、胙王（さくおう）および左丞相（さしょうじょう）に封じられました。しかし、1213年に父である衛紹王が将軍の胡沙虎（こさこ）によるクーデターによって殺害されると、彼の運命は大きく変わります。胡沙虎によって皇太子の地位を剥奪された上に、幽閉されることとなりました。

その後、胡沙虎自身も間もなく殺害され、従恪の従兄にあたる宣宗（せんそう）が即位しますが、従恪は解放されることなく、そのまま20年もの間幽閉生活を送ることになります。この幽閉期間中には、姉である哈敦公主がモンゴルに強制的に嫁がされるなど、不幸が重なりました。

1233年、西面元帥（せいめんげんすい）の崔立（さいりつ）が哀宗（あいそう）に対してクーデターを起こすと、宣宗の未亡人である太后の詔命によって、従恪はついに解放され、改めて梁王（りょうおう）に封じられます。

しかし、解放からわずか1年後の1234年、スブタイ率いるモンゴル軍が開封（かいほう）に迫ると、崔立によって捕らえられ、宣宗の子である荊王（けいおう）盤都（ばんず、後の守純（しゅじゅん））と共にスブタイに引き渡され、盤都と共に極刑に処された後、晒し首となりました。

完顔従恪は、皇族として生まれながらも、クーデターや幽閉、そして異民族による侵略という時代の波に翻弄され、不遇の生涯を終えた人物と言えるでしょう。

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