胡沙虎

胡沙虎（こさこ）

胡沙虎（クシャク、生年不詳 - 1213年）は、金朝の軍人。女真貴族の出身で、衛紹王を弑逆したことで歴史に名を残す人物です。

生涯

胡沙虎は、大定8年（1168年）に皇太子の護衛として仕官し、軍人としてのキャリアをスタートさせます。首都の禁軍司令官である拱衛直指揮使にまで昇進しますが、元来の粗暴で残酷な性格が災いし、明昌4年（1193年）には酒のことでトラブルを起こし降格されます。その後も素行の悪さからたびたび処罰を受けました。

承安5年（1200年）には、首都の長官である知大興府事に任命されますが、その振る舞いが首都の長官にふさわしくないとされ、再び左遷されます。

泰和5年（1205年）、南宋との戦いに出征すると、山東地方で武功を挙げ、西京留守に転任。大安元年（1209年）には世襲の地位を与えられ、軍の要職である行枢密院兼安撫使に任命されました。しかし、その地位を利用して私腹を肥やし、専横を極めたとされています。

チンギス・カン率いるモンゴル帝国軍の侵攻が始まると、右副元帥に任ぜられ防衛にあたるも敗北。都に逃げ帰った胡沙虎に対し、日頃から不満を抱いていた皇帝の側近たちは処罰を要求しました。身の危険を感じた胡沙虎は、ついにクーデターを決意します。

貞祐元年（1213年）8月、胡沙虎は軍を率いて宮中に乱入。対立していた衛紹王の側近を殺害し、衛紹王を幽閉、毒殺しました。衛紹王の甥である宣宗を擁立し、自らは太師・尚書令・都元帥などの要職を独占し、独裁権を握ります。しかし、その支配は長くは続きませんでした。

政権奪取からわずか2ヶ月後の10月、モンゴル軍に敗れて逃げ帰った高琪が、胡沙虎に処罰されることを恐れてクーデターを起こします。胡沙虎は自宅を包囲され、息子や家族とともに惨殺されました。

胡沙虎は、その性格と行動から多くの敵を作り、最終的にはクーデターによって命を落とすという劇的な生涯を終えました。

参考文献

杉山正明「第1部 はるかなる大モンゴル帝国」『世界の歴史9 大モンゴルの時代』中央公論新社〈中公文庫〉、2008年8月。ISBN 978-4-12-205044-0。

関連項目

蒙金戦争

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