衛紹王

衛紹王（えいしょうおう）

衛紹王は、金の第7代皇帝であり、名は允済（のち永済）。しかし、帝位を廃されたため、皇帝としての諡号はありません。即位前の衛王の位に復して「紹」と諡されたため、衛紹王と呼ばれます。

生涯

第5代皇帝・世宗の七男として生まれました。長身の美男子で質素な人物と評価される一方で、暗愚な一面もあったとされています。章宗の命によりモンゴルへの正使として赴いた際、チンギス・カンに愚鈍であると見抜かれ、侮辱を受けました。帰国後、モンゴルを滅ぼすべきだと主張したと伝えられています。

章宗が崩御する間際、後継者に指名され皇帝に即位しました。衛王即位の報を聞いたチンギス・カンは、金の滅亡させる好機と捉え、遠征の準備に着手したと言われています。

大安3年（1211年）、チンギス・カンは金へ侵攻を開始しました。衛紹王は有効な対策を取れず、金軍は連敗。遼の旧宗族であった耶律留哥がモンゴル軍に呼応して謀反を起こすなど、国内も混乱しました。

至寧元年（1213年）、将軍・胡沙虎の兵乱により幽閉され、翌月毒殺されました。政権を奪取した胡沙虎は、衛紹王の帝号剥奪を計画しますが、朝廷内の反対により東海郡侯への降格に留まりました。胡沙虎が殺害された後、衛王に復され「紹」の諡号が追贈されました。

衛紹王の娘である哈敦公主は、宣宗の命でモンゴルへ下嫁。皇太子であった子の従恪は、父の死後20年間幽閉され続け、金滅亡時にモンゴル軍によって処刑されました。

評価

衛紹王は、暗愚な皇帝として描かれることが多い人物です。チンギス・カンに見抜かれたエピソードや、モンゴル軍の侵攻に対して有効な対策を講じられなかったことなどが、そのように評価される要因となっています。しかし、その容姿や人柄には優れていた点もあったようです。彼の治世は短く、金の衰退を食い止めることはできませんでしたが、その後の金の歴史に大きな影響を与えた人物であると言えるでしょう。

宗室

妻妾
欽聖王后 徒単氏
袁貴妃
男子
梁王 従恪（徒単氏の子）
猛安（琚）（袁氏の子）
按出（瑄）（袁氏の子）
按辰（璪）（袁氏の子）
女子
岐国公主（哈敦）

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