宍戸璣

宍戸璣：維新と外交の舞台を駆ける長州藩士

宍戸璣(ししど たまき)は、文政12年'>[1829年]長州藩士・安田直温の三男として誕生しました。幼名は辰之助、名は子誠、後に敬宇と改名し、のちに前名である山県半蔵としても知られています。

彼は、嘉永元年'>[吉田松陰]]らが学んだ玉木文之進の塾(松下村塾)や藩校明倫館で研鑽を積みました。[[1848年]には藩儒・山県太華の養子となり、山県半蔵と名乗るようになります。

若き日の宍戸は、安政元年'>[1854年]には幕府役人・村垣範正に従って安政5年'>[蝦夷地]]、樺太、ロシアを視察。翌年には長崎へ遊学し、諸藩の志士らと交流を深めました。1857年]には[[長州藩に戻り、明倫館都講本役に就任、世子・毛利定広(後の元徳)の侍講を務めました。

万延元年'>[1860年]には定広に付き従い文久2年'>[江戸]]へ赴き、国事に奔走。1862年]には、[[久坂玄瑞、中岡慎太郎らとともに謹慎中の佐久間象山を訪問し、長州藩への招聘を試みました。実現はしませんでしたが、佐久間象山から国際情勢や国防論に関する貴重な教えを受けました。

翌年帰藩後、九州各地を巡り尊王攘夷論を説きました。八月十八日の政変後は京阪に潜伏し情勢を探りました。その後、禁門の変での敗北、下関への四国連合艦隊襲来と、長州藩は窮地に陥ります。恭順派が台頭し、宍戸も禁固されますが、高杉晋作、伊藤博文らの挙兵により藩論が転換し、赦免されました。

しかし、幕府は長州藩への問罪使を派遣。藩は宍戸を家老宍戸家の養子として宍戸備後助と改名させ、広島の国泰寺で幕府問罪使・永井尚志との交渉にあたらせました。交渉の長期化により広島藩に拘留されましたが、翌年の第二次長州征伐の開戦に伴い、幕府側の敗戦を受け、釈放されました。この功績により、宍戸家は新たに末家を建てることを許され、直目付役に任ぜられました。さらに、長防士民合議書を起草、配布し、領内の結束強化に貢献しました。

明治2年'>[明治]]維新後、1869年]には山口藩権大参事となり、翌年上京。刑部少輔、司法大輔、文部大輔を歴任しました。[1877年]には元老院議官に就任。

明治12年'>[1879年]には明治14年'>[清]]国駐剳全権公使に任命されました。当時、琉球処分の直後であり、琉球の帰属問題(分島問題)が日清間の懸案事項となっていましたが、宍戸は、日本の領有権を明確にした寺島宗則・井上馨の覚書を清国に提出。翌年交渉はまとまりましたが、李鴻章らの反対により調印には至らず、[[1881年]帰国しました。

帰国後は明治20年'>[宮内省]]出仕、参事院議官、元老院議官を歴任。1887年]には[子爵]]を叙爵されました。1890年]には貴族院議員に任命され、[錦鶏間祗候]]にもなりました。貴族院議員を1期務めた後、1897年(明治30年)に退任。[[1901年]10月、73歳で生涯を閉じました。

宍戸璣は、藩士として、官僚として、外交官として、日本の近代化に多大な貢献を果たした重要な人物と言えるでしょう。彼の生涯は、激動の時代を生き抜き、常に日本の未来のために尽力した、稀有な存在であったことを示しています。

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