宗愛

宗愛（そうあい）

宗愛（生年不詳 - 452年）は、北魏の時代に権勢を振るった宦官です。彼は皇帝を弑逆するという前代未聞の事件を起こし、その後の北魏の政局に大きな影響を与えました。

生涯

宗愛の出自は明らかになっていません。罪を犯して宦官となり、低い位の官職を歴任した後、中常侍にまで上り詰めました。451年（正平元年）には、太武帝が群臣と会した際、その功績により秦郡公に封じられています。しかし、宗愛は次第に権力を笠に着て不正を働くようになり、皇太子の拓跋晃から憎まれる存在となります。

皇太子との対立を深めた宗愛は、東宮に仕える仇尼道盛や任平城らを陥れ、死に追いやりました。皇太子であった拓跋晃は、この一件で深く心を痛め、若くして亡くなってしまいます。太武帝は息子の死を悼みましたが、宗愛は自身の罪が暴かれることを恐れ、ついに皇帝を弑逆するという凶行を決意します。

452年（正平2年）2月、宗愛はついに太武帝を殺害しました。この時、尚書左僕射の蘭延らは事態を隠蔽しようとしましたが、宗愛は赫連皇后の命令と偽り、蘭延らを捕らえて処刑。さらに、太武帝の子である拓跋翰も殺害しました。そして、以前から関係のあった南安王拓跋余を皇帝に擁立し、自身は大司馬・大将軍・太師といった要職を独占し、北魏の政治を壟断しました。

しかし、拓跋余もまた、宗愛の専横を警戒するようになり、その権力を剥奪しようと画策します。これに対し、宗愛は同年10月、小黄門の賈周らに命じて拓跋余を殺害させました。しかし、宗愛の横暴は長くは続きませんでした。拓跋濬（後の文成帝）が即位すると、宗愛と賈周はすぐに捕らえられ、厳しい拷問を受けた後、一族皆殺しという悲惨な最期を遂げました。

宗愛の行動は、北魏の政治に大きな混乱をもたらし、その後の皇位継承にも影響を与えました。彼の専横と非道な行いは、歴史に深く刻まれています。

宗愛が登場する作品

史書
『魏書』
* 『北史』

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