拓跋晃

拓跋晃：北魏の皇太子、その生涯と業績

拓跋晃（たくばつ こう）は、北魏の太武帝の長男として生まれ、皇太子となった人物です。文成帝の父としても知られています。彼の生涯は、政治と軍事の両面での才能の発揮、そして若くしての死という、波乱に満ちたものでした。

生い立ちと皇太子時代

神䴥元年（428年）に生まれた拓跋晃は、432年（延和元年）に皇太子に立てられました。太武帝が北燕への親征を行った際には、留守を預かり録尚書事に任じられ、国政を担いました。さらに、北涼征伐の際には監国として、その手腕を発揮しています。

国政への参画と政策

443年（太平真君4年）には、太武帝の北伐に従軍し、柔然軍との対峙を経験します。この時、拓跋晃は柔然軍の混乱に乗じて直ちに攻撃することを進言しましたが、尚書令劉潔の反対により実現しませんでした。しかし、太武帝は後にこの判断を悔やみ、以後は拓跋晃の意見を重用するようになります。こうして、拓跋晃は北魏の国政を実質的に総覧する立場となりました。

拓跋晃は、農業振興に力を注ぎました。牛や農地を農民に貸与して開墾を奨励するとともに、飲酒や遊戯、本籍を離れての商売を禁止するなど、農業中心の政策を推進しました。これらの政策は、当時の北魏の社会と経済に大きな影響を与えたと考えられます。

早世とその後

451年（太平真君12年）6月、拓跋晃は東宮にて24歳という若さで亡くなりました。太武帝はその死を深く悲しみ、景穆太子と諡（おくりな）を贈っています。翌452年（興安元年）に文成帝が即位すると、景穆皇帝と追尊され、廟号を恭宗と定められました。

文成帝以後の皇帝は、僭称者や西魏・東魏の皇帝を含めて、ほとんどが拓跋晃の子孫であることは、彼の血統が北魏、そしてその後の王朝に深く根ざしていたことを示しています。

家族

妻妾：

郁久閭氏（景穆恭皇后）
昭儀斛律氏
袁椒房、尉椒房、陽椒房、孟椒房、劉椒房、慕容椒房、尉椒房、孟椒房

男子：

文成帝 拓跋濬
陽平幽王 拓跋新成
京兆康王 拓跋子推
済陰宣王 拓跋小新成
汝陰霊王 拓跋天賜
楽浪厲王 拓跋万寿
広平殤王 拓跋洛侯
任城康王 拓跋雲
南安恵王 拓跋楨
城陽康王 拓跋長寿
章武敬王 拓跋太洛
楽陵康王 拓跋胡児
安定靖王 拓跋休
趙王 拓跋深

女子：

章武公主（長女、穆泰の妻、後に房菩薩の妻）
安楽公主（乙瓌の子の乙乾帰の妻）
博陵公主（馮熙の妻）
楽平公主

評価

拓跋晃は、若くして亡くなったものの、北魏の国政に深く関与し、農業振興などの政策を通じて国力の向上に貢献しました。彼の政治手腕は、父である太武帝にも認められ、後世の皇帝にも大きな影響を与えました。拓跋晃は、北魏の歴史において重要な役割を果たした人物として評価されています。

参考文献

『魏書』巻四下 帝紀第四下
* 『北史』巻二 魏本紀第二

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