宗敦寺 (中津川市)

宗敦寺（そうとんじ）

宗敦寺は、岐阜県中津川市付知町に位置する臨済宗妙心寺派の寺院です。山号は禅徳山、本尊は聖観世音菩薩を祀っています。この寺は、戦国時代末期に創建された真門山宗頓寺を前身とし、幾多の歴史を経て現在の姿に至っています。

歴史

宗敦寺の歴史は、戦国時代末期に、付知村を治めていた遠山備後が、長男を浄土宗の僧侶として修行させたことに始まります。この僧侶、廓翁天誉は、慶長年間に下付知の地に真門山宗頓寺を建立しました。

しかし、寛永3年、廓翁天誉は豪雨のために川で溺死。後継者がいなかったため、宗頓寺は一時廃寺となります。寺の跡地は「寺畑」と呼ばれ、宝篋印塔や墓石、井戸などが残されています。

その後、寛永10年に、付知村の庄屋であった田口四郎三郎慶廣が林泉庵を建立しました。林泉庵は田口家の別宅として先祖の供養などが行われていたと考えられています。

寛文2年、苗木藩の僧侶であった魏海宗活は、付知村の庄屋、田口忠左衛門慶寛の協力を得て、林泉庵の跡地に宗敦寺を再興します。宗敦寺の建立にあたり、田口忠左衛門慶寛は寺の土地や水源林などを寄進しました。工事は地元だけでなく、木曽谷からも職人を招いて進められ、寛文6年に現在の伽藍が完成し、禅徳山宗敦寺として開山しました。

再興に尽力した魏海宗活は、宗敦寺の初代住職となり、延宝3年に55歳で亡くなりました。

中興者 輪外胡桂

宗敦寺四世となった輪外胡桂は、寺の整備に尽力し、元文4年には庫裡を建て、延享3年には大鐘と半鐘を鋳造しました。また、山門や土蔵、文庫、書院なども完成させ、一世の魏海の願望を実現させました。

輪外胡桂は、寺の整備だけでなく、溜池の築造や水田の開拓、橋の建設など、地域の発展にも貢献しました。晩年は川東に隠居し、82歳で亡くなりました。

明治時代

明治時代に入ると、廃仏毀釈の影響で、宗敦寺も大きな危機に直面します。檀家の多くが神葬祭への改宗を希望し、一時は寺の存続が危ぶまれました。

しかし、宗敦寺九世の二山宗直が、元庄屋の田口慶成の協力を得て、寺の護持運動を展開。さらに、幼少期に宗敦寺で修行した坂上宗詮（眞淨）らの活躍により、檀家の多くが改宗を取り下げ、宗敦寺は存続することができました。

明治29年には、ケヤキの大木を払い下げてもらい、鐘楼が完成しました。

寺宝

宗敦寺には、開山である魏海宗活の木像、宗敦寺十境を描いた書、六世傳偃傒の血書、輪外胡桂の古記録などの寺宝が所蔵されています。

市指定文化財

宗敦寺には、以下の市指定文化財があります。

血書大乗妙典（寛政3年）
紙本禅徳山宗敦寺十境之十徳（文明6年）
紙本墨跡白隠禅師書（江戸時代）
紙本十三人墨跡（寛文10年）
木額・白隠禅師書（江戸時代）
紙本宗敦寺沿革略記（明治元年）
雲龍の図（江戸時代、三尾暁峰作）
花鳥の図（江戸時代、三尾暁峰作）
木造聖観世音坐像（室町時代）

参考文献

『付知町史 通史編・史料編』
『恵那郡史』
『岐阜県百寺』
『東濃の古寺』

関連項目

雲林寺

宗敦寺は、地域の人々の信仰を集めるだけでなく、歴史と文化を今に伝える貴重な存在です。

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