宝篋印塔

宝篋印塔（ほうきょういんとう）について

宝篋印塔とは、仏教寺院や墓地で一般的に見られる供養塔の一種で、墓塔としての役割を果たすとともに、仏舎利を納める塔でもあります。この塔は、石造で作られていることが多く、特に中国と日本の文化的背景が色濃く反映されています。

起源

宝篋印塔の起源は、中国の呉越王銭弘俶が延命を願い、各地に配ったことに遡ります。この銭弘俶が作った8万4千塔は、インドのアショーカ王によって建立された8本の舎利塔の物語と関連があります。アショーカ王の舎利塔のいずれかから仏舎利を取り出し、それを小タワーに分配したというのが始まりです。日本においては、この伝説に基づいて少なくとも10基の宝篋印塔が存在しています。歴史的な文献からは、宝篋印塔が銭弘俶塔にやがて神秘的な要素を持つようになった経過や、阿育王塔との混淆が見られることが示されています。

制作の歴史と特徴

日本においてこの塔は、特に鎌倉時代初期から多く作られるようになりました。中でも北村美術館に所蔵されている旧妙真寺宝篋印塔は、当時の装飾的な特徴がよく残っており、興味深い研究対象となっています。鎌倉期の宝篋印塔は、しばしば中国の宋代のスタイルと比較して研究され、その差異が顕著です。

また、堅固な構造が特徴で、最上部には相輪（そうりん）という部分があり、さらにその下には笠や塔身、基礎部分が続きます。特に相輪は、釈迦の遺骨を納めるためのストゥーパの名残ともされ、重要な役割を持っています。この塔身部分は装飾が施されることが多く、例えば仏像や月輪に囲まれた種子が彫刻されることもあります。

意義

宝篋印塔の建設は、滅罪や延命を願う供養活動として行われ、特に高位者の供養塔として、一部の地域では非常に顕著に存在します。形状がシンプルな五輪塔と異なり、宝篋印塔は主に貴族や上層階級の人々に使用される傾向にありました。また、これらは必ずしも供養塔として機能するわけではなく、中国に存在する大型の例は、むしろ現世の利益を求めるためのものであったと言われています。

力を発揮する僧侶たち

中世の日本で、律宗僧やその関連の石工たちが宝篋印塔の制作に大きく貢献しました。彼らの運動により石造美術が発展し、多くの優れた作品が現存しています。律宗の僧侶たちは、彼らの活動を通じて寺院の中でも特に注目を集めました。

代表的な宝篋印塔

主な宝篋印塔には、光福寺塔（埼玉県）、安養院塔（神奈川県）、鏡神社塔（滋賀県）等があり、いずれも重要文化財に指定されています。これらの宝篋印塔は、地域ごとの特色を反映しつつ、日本独自の仏教文化の象徴として現在も多くの人々に親しまれています。

• ---

このように、宝篋印塔はその美しさや歴史的背景、文化的意義から、多くの人々にとって興味深いテーマとなっていますので、更なる研究や訪問を通じて、その深い魅力を再発見することが望まれます。

もう一度検索