延享

延享（えんきょう）の時代

延享（1744年 - 1748年）は、日本の元号の一つで、寛保の後、寛延の前となる期間を指します。この時代には、桜町天皇と桃園天皇が即位し、江戸幕府の将軍は徳川吉宗、次に徳川家重が務めました。

延享は、寛保4年2月21日（西暦1744年4月3日）に改元されました。これは讖緯説に基づく甲子革令に従ったものです。改元の際、幕府は7つの候補を検討し、その中から「天明」「延享」「宝暦」の3つに絞りました。結果として幕府は「延享」を推し、これをもとに改元が行われました。

延享の期間中、特に人形浄瑠璃が極めて盛況を迎えました。三大名作のうち、『菅原伝授手習鑑』と『義経千本桜』はこの時代に上演され、更に『仮名手本忠臣蔵』も寛延元年に初めて舞台に登場しました。また、この時期には全国で百姓一揆や打ちこわしが頻繁に起こるなど、社会不安も見られました。

- 3月4日：江戸市中で沽券調べが実施されました。
- 8月：長州藩では大風や洪水により12万石以上の損害が発生。
- 9月：出雲大社本殿が完成し、神田佐久間町に天文台が建設されました。
- 11月：衣服の華美を禁じるお触れがなされ、町人の衣服・調度についても制限が課されました。

- 2月：六道火事が発生し、1323人の死者が出る大惨事となりました。
- 5月：竹内徳兵衛らが漂流民として温禰古丹島に漂着。
- 8月21日には『夏祭浪花鑑』が初演されました。

- 2月に幕府は長崎貿易の規制を行い、外国船の数を制限しました。
- 7月には加賀藩で加賀騒動が起こり、大槻伝蔵が蟄居することとなります。

- 5月2日、桜町天皇が譲位し桃園天皇が即位しました。
- 同年8月15日には細川宗孝が江戸城で刺殺される事件が発生します。

- 7月12日に桃園天皇が即位したことを受け、寛延に改元されました。-

この元号において、無数の社会的、文化的出来事が発生しました。特に人形浄瑠璃の発展は文化的な意義が高く、民衆にとって重要な娯楽と娯楽文化の一角を形成しました。一方で、農民の抗議行動も顕著であり、様々な経済的困難に無視できない影響を与えました。

この時代に登場した重要な人物として、歌人の林織江や測量家の伊能忠敬などがいます。また、興味深いことに、八文字屋自笑や松平乗邑などもこの時代に亡くなりました。

延享の時代は、日本の歴史の中で重要な転機を迎える時期でした。文化の発展と同時に、社会的不安も増大していくという、相反する側面を持つ時代として記憶されています。

もう一度検索