宗田好史

宗田好史（むねた よしふみ）氏は、1956年4月18日に生まれた日本の都市建築学者です。京都府立大学の名誉教授であり、現在は関西国際大学の教授として教鞭をとっています。また、京都大学から工学博士の学位を取得しています。

静岡県浜松市で生を受けた宗田氏は、法政大学工学部建築学科で都市と建築について学び、1985年に同大学院修士課程を修了しました。さらに研鑽を積むためイタリアへ留学し、ピサ大学とローマ大学の大学院で都市・地域計画学を専門的に研究しました。このイタリアでの経験は、その後の研究活動の基盤となります。

帰国後、イタリアの歴史的都市がどのように再生を遂げたのか、その都市政策を深く掘り下げた研究に取り組みました。この成果は、「イタリアの歴史的都市部の再生を可能にした都市政策の研究」と題する論文にまとめられ、1997年に京都大学から工学博士号が授与されました。

国際連合地域開発センターでの勤務経験を経て、1993年に京都府立大学に助教授として着任しました。同大学ではキャリアを重ね、2007年に准教授、2012年には教授へと昇任し、長きにわたり教育・研究活動を展開しました。特に、2016年4月から2020年3月までの期間は、副学長や和食文化研究センター長といった要職を兼務し、大学の運営や新たな研究分野の確立にも貢献しました。2022年に京都府立大学を定年により退職し、名誉教授の称号を授与されるとともに、客員教授としても活動しています。

2022年4月からは関西国際大学に活躍の場を移し、教授として国際コミュニケーション学部の学部長を務めています。

宗田氏は、学術分野だけでなく、社会貢献活動にも熱心に取り組んでいます。国際記念物遺跡会議（ICOMOS）国内委員会の理事、京都府農業会議の専門委員、京都市景観まちづくりセンターの理事などを歴任し、文化遺産保護、地域農業、景観保全といった分野で専門知識を活かしました。また、特定非営利活動法人（NPO）として京都府地球温暖化防止活動推進センターや京町家再生研究会の理事も務め、環境問題への取り組みや、京都の伝統的な町家の保全・活用にも尽力してきました。

彼の研究成果や知見は、多くの著書を通じて広く紹介されています。イタリアでの研究を基盤とした著書としては、歴史的な景観の再生と商業政策の関係を探る『にぎわいを呼ぶイタリアのまちづくり 歴史的景観の再生と商業政策』（2000年）や、農村の活力の源泉を考察する『なぜイタリアの村は美しく元気なのか 市民のスロー志向に応えた農村の選択』（2012年）などがあります。

日本の都市や地域に焦点を当てた著書も多く、中心市街地の再生への道を探る『中心市街地の創造力 暮らしの変化をとらえた再生への道』（2007年）、創造的な視点からの観光振興を論じる『創造都市のための観光振興 小さなビジネスを育てるまちづくり』（2009年）、そして京都の町家再生の意義や方法論を詳述した『町家再生の論理 創造的まちづくりへの方途』（2009年）などがあります。近年の著書である『インバウンド再生 コロナ後への観光政策をイタリアと京都から考える』（2020年）では、パンデミック後の観光のあり方について、イタリアと京都という具体的な事例を通して考察しています。

また、共編著や監修も手掛けており、市民参加による環境再生の重要性を説く『都市に自然をとりもどす 市民参加ですすめる環境再生のまちづくり』（神吉紀世子, 北元敏夫, あおぞら財団, 公害地域再生センター共編著、2000年）、京都という地域ならではの観光研究をまとめた『京都観光学のススメ』（井口和起, 上田純一, 野田浩資共著、2005年）、そして京都の町家の魅力や活用法を紹介する『京都町家案内 京町家を、知る、訪ねる、味わう。』（監修、2009年）などがあります。

宗田好史氏は、イタリアでの深い学びを活かし、歴史的都市の再生、まちづくり、観光、文化遺産保護、環境問題といった多岐にわたる分野で、学術研究のみならず、政策提言や社会活動を通じて国内外の地域社会の持続可能な発展に貢献している、影響力のある都市建築学者です。

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