宗親府

宗親府について

宗親府（そうしんふ、ジョンチンブ）は、李氏朝鮮の時代において王族が所属する官府であり、その役割と機能は時代において変遷を遂げました。本府の設立は、王室の秩序と安定を維持するための重要な制度の一環として位置づけられています。

概要

宗親府は、李氏朝鮮における王族を中心とした組織であり、他の官府とも職務を兼任することが可能でした。しかし、特に成宗治世中の亀城君の流罪以降、王族が政治に関与することは厳しく制限されました。宗親府には定員が設けられておらず、家族から受け継がれる封爵が承襲職として働く場合、父の死後に新たに任命されるのが通例です。

もう一つの大きな特徴として、宗親としての礼遇が受けられるのはその代数を過ぎるまでで、その後は一般の文武官と同様に品階が決定されます。さらに、王の嫡出子である大君は品階を持たない一方、妾から生まれた場合はその出自に応じて品階が調整され、良民の妾からは一等下がり、賤民の妾からはさらに一等下がるという厳しい規準があります。

官職の階級

成宗時代において宗親府に所属する官職の階級は、正一品から従二品に及び、具体的には君、都正、正、従三品の副正、正四品の守、典簽、従四品の副守、正五品の令、従五品の典簿、そして正六品の監と多岐にわたりました。これらの官職は、王族としての特権や名誉を反映する重要な地位とされました。

族譜とその管理

宗親府における族譜の編纂は、宗簿寺が担当していました。ここでは王族の系譜や家系についての記録が保持され、王室の歴史的な継承を支える役割を果たしていました。違反糾察に関しても、宗簿寺がその責任を担い、王族の伝統と秩序を守るために重要な役割を果たしていました。

まとめ

このように、宗親府は李氏朝鮮における王族の重要な官府であり、政治的権限が制限されている中でも、自らの役割と伝統を守り続けてきたのです。王族の構成員の出自に応じた品階の設定や、官職による階級体系も、当時の社会における王族の地位を明確に示しています。朝鮮王朝の複雑な官庁制度において、宗親府の存在は、歴史的な背景と文化を理解する上で欠かせない要素といえるでしょう。

参考文献

朴永圭『朝鮮王朝実録』尹淑姫・神田聡 訳、新潮社、1997年9月。ISBN 4-10-536001-9。

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