官吏

官吏とは

官吏（かんり）とは、法律の任命に基づき、国家機関で働く人々を指します。政府や軍隊などの役職を含むこの言葉は、「官人」と「吏」の融合で構成されています。また、日本では官吏のことを「官」と略して呼ぶことが一般的です。

日本における官吏

日本の官吏制度は歴史的に多様な変遷を遂げてきました。大日本帝国憲法の施行下では、官吏は天皇の権限に基づいて任免される国家公務員に相当します。この制度は文官と武官に大別され、特に文官は公務員の主流を形成しました。

明治維新後の官吏制度

1868年の明治維新により、新たな官吏制度が導入されました。初めは三職制が設けられ、後に徴士や雇士などの制度が設けられました。藩士が利害関係を保つ中、官吏として朝廷の直臣となることが求められました。これにより、官吏は藩閥ごとの政治的なバランスを保たれることになり、特に薩摩藩と長州藩からの官吏登用が多く見受けられました。

明治元年には貢士が廃止され、徴士及び雇士の制度が強化されました。1869年にはさらに制度が見直され、官吏はその職務を果たすにあたり、明確な試験や基準で評価されることとなりました。これにより官吏の選考基準が明確化され、政治的な偏りを持たない人事が求められるようになりました。官吏に対する規律や職務に対する忠実さが重視されたのはこの頃からです。

陸軍と海軍の官吏

武官もまた、官吏制度の一環として位置づけられました。明治期には陸軍省と海軍省が設立され、軍人も官吏としての地位を与えられました。このため、文官と武官の間に官吏の中での明確な区分が生まれることになります。

日本国憲法下の官吏制度

第二次世界大戦後の1946年に制定された日本国憲法では、官吏という用語が再定義されました。憲法第7条や第73条には、官吏の任免に関する記述があり、官吏は内閣と国民のために尽力することが求められています。また、地方公務員を指す「吏員」という表現も重要です。

このように、官吏という職務は大きく変わり続けています。日本では、官吏の地位と義務が国家の運営に直接関わっているため、その制度は国民生活にとって極めて重要な役割を果たします。

海外の官吏制度

フランスでは、国家公務員は官吏（Titulaires）と非官吏（Non titulaires）に分けられます。官吏は恒久的な職に任命され、非官吏は臨時や補助の位置付けがされているのが特徴です。ドイツの官吏制度でも、官吏（Beamte）と公務被用者（Tarifbeschäftigte）に分けられ、官吏は公法に基づいて任用されることが定義されています。

このように、官吏の制度は各国で異なるものの、その根底には国の安定と運営が求められており、国家の重要な機能を担っています。

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