官園 (開拓使)

官園とは

官園とは、明治維新以降に日本の開拓使が設置した農業に特化した試験・普及機関を指します。北海道と東京府に設けられたこの機関は、海外からの技術を導入し、さまざまな農業技術の試験が実施されました。これは当時の日本が抱えていた農業の課題への対応でもありました。

概要

明治維新という大きな変革の中で、日本は産業や農業において近代化を図りました。北海道の開拓が進む中、特に農業の発展が求められましたが、北海道における農業は本州とは異なる亜寒帯気候に影響されるため、尽力を要しました。このため、アメリカやヨーロッパからの技術を導入し、実証する場が求められ、その名が官園です。

官園の設立

最初の試験場である七重官園は、1870年に函館周辺に設置されました。これはプロシア人ガルトネルの開墾条約事件の跡地に設立され、草畜、農業機器の導入に力を入れました。特に水稲や水力製粉、醸造、さらには鮭の人工孵化などを行うまでに成長しました。

その後、開拓使の教師であったホーレス・ケプロンは、札幌に官園を設置する提案をし、1871年に御手作畑が設けられ、これが後の札幌官園につながりました。また、東京にも官園が設置され、ここでは種苗や種畜の導入が進められました。特に東京官園は、数か所に分かれて建設され、研究と普及に貢献しました。特に重要な役割を果たしたのが技術者であったルイス・ベーマーやエドウィン・ダンです。

その後、根室官園も1874年に設立され、各地域における農業の試験と実証が行われました。これらの官園では、現術生徒の育成や研修を通じて、洋式農業の実践が奨励され、試験の成果が農業普及に寄与しました。

官園の変遷

1882年には開拓使が廃止され、官園は縮小を余儀なくされました。しかし、1886年に北海道庁が設置されると、農業の普及政策が新たな段階に入りました。旭川に忠別農作試験場が設けられ、気象観測に基づいた農作物の試作が広がりました。この試験場は後に上川農事試験場と改称され、北海道各地の農業試験に貢献していきました。

各官園の役割

• - 七重官園

1870年に開設され、農業機器や畜産活動、醸造など先駆的な試験が行われました。

• - 札幌官園

1871年に設置され、農業教育、農作物の改良に関与しました。

• - 東京官園

1871年設立。種苗の導入や農業技術の普及を図る役割を担いました。

• - 根室官園

1874年に設立され、地域特性に合った農業の革新を試みました。

結論

官園は日本の農業にとって重要な役割を果たしました。西洋の技術をいち早く導入し、それを実証することで、日本の農業の近代化を推進したのです。これにより、官園は今後の北海道の農業政策にも大きな影響を与え、地域の経済発展に貢献していきました。

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