ホーレス・ケプロン

ホーレス・ケプロン：北海道開拓に貢献したアメリカの先駆者

ホーレス・ケプロン（Horace Capron、1804年8月31日 - 1885年2月22日）は、アメリカ合衆国の軍人であり政治家であり、明治時代初期に日本の北海道開拓に大きく貢献した人物です。

生い立ちと初期の経歴

マサチューセッツ州で生まれたケプロンは、幼少期にニューヨーク州へ移り住み、ホワイツボロで育ちました。綿布製造業に携わり、各地の工場で監督としての経験を積みました。1833年には、ボルチモア・ワシントン鉄道建設の際、暴動鎮圧に貢献するなど、初期からそのリーダーシップを発揮していました。

南北戦争では北軍義勇兵として従軍し、その後、アメリカ合衆国政府で農務局長を務めました。

北海道開拓への貢献

1871年、黒田清隆の熱心な誘いを受け、ケプロンは農務局長を辞任し、開拓使顧問として来日しました。彼は北海道の開拓事業全般にわたり、その手腕を発揮しました。

農業の振興

ケプロンは、冷涼な気候の北海道に適した麦の栽培を奨励し、パン食を推進しました。これは、後のサッポロビールの設立につながるなど、北海道の食文化に大きな影響を与えました。また、ジャガイモ、タマネギ、テンサイ、ホップ、トウモロコシ、リンゴなどの栽培も奨励し、北海道の農業の多角化に貢献しました。

水産業の発展

水産資源の活用にも力を入れ、魚の塩漬け加工による輸出を提唱しました。彼の進言により、日本初の缶詰量産工場である石狩缶詰所が設立され、サケ缶詰の製造が始まりました。10月10日が「缶詰の日」となっているのは、この石狩缶詰所が設立された日に由来します。

インフラ整備

札幌と室蘭、森と函館を結ぶ馬車道を整備し、現在の国道36号と国道5号の基礎となる札幌本道を建設しました。また、札幌 - 室蘭間の鉄道敷設も提言しましたが、彼の在日期間中の実現には至りませんでした。

その他

札幌農学校（現在の北海道大学）の開学にも尽力し、北海道大学の基礎を築きました。また、ケプロンに提供されたライスカレーが、日本におけるライスカレーという単語の最初期の使用例であるという記録も残っています。

帰国と晩年

1875年に帰国後も、日本の発展を願い続けました。1885年2月21日、ワシントン記念塔の建設祝賀会に出席後、体調を崩し、翌日80歳で生涯を閉じました。その遺骸は、ワシントンのオークヒルに埋葬されています。

遺産

札幌の大通公園には、黒田清隆と並んでケプロンの銅像が建てられています。彼の功績は、北海道の開拓史に深く刻まれています。また、日本の生人形の収集家でもありました。

著書

「ホーレス・ケプロン自伝」（翻訳：西島照男）
「蝦夷と江戸 ケプロン日誌」（翻訳：西島照男）

ホーレス・ケプロンは、北海道の近代化に多大な貢献をした、先見の明を持つ人物でした。

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