官当

官当（かんとう）に関する解説

官当は、律令制度において官人に対する重要な換刑制度の一つです。この制度は、犯罪を犯した官人が、その官位や品位、勲位を返上し、実刑に代わる手続きを意味します。これにより、官人は過去の栄光を断ち切られ、実刑を経て再スタートを切ることとなります。

官当の概要

官当の原則は、儒教に由来しています。「刑は大夫に上さず」という考え方が根底にあり、当時の支配階層内での秩序を維持するために、官人に対しては特に慎重に処分を下すべきという理念が存在しました。これは、古代中国の律令法が影響を与えています。

官当の刑事規定には、公務に関わる犯罪（公罪）と、私的な犯罪（私罪）の二つがあります。公罪の場合、処分はより重くなり、そのための規定も異なります。たとえば、私罪を犯した官人が四品以上の位位や三位以上の位階であった場合、一官分を基準に徒刑が3年に相当するといった具合です。

公罪と私罪の取り扱い

公罪の場合は、私罪の規定に加えてさらに1年分の徒刑が加算されます。他方、流刑のケースでは、徒刑が4年分に換算され、これに基づいて官当が適用されます。この二つの罪の種類によって、処分が細かく規定されている点が特徴です。

官位や勲位は、最も高い地位から順に失っていくことになり、もし処分を受けた官人が過去に昇進をしていた場合、その経歴に基づいて破毀が行われます。たとえば、従六位上から従五位下に昇進した者が罪を犯した場合、まずは従五位下の官位が失われ、その後まだ罪が残っていれば次に従六位下の官位が破毀されるのです。

贖銅や再叙

一方で、処分が過重であると考えられる場合や、歴任した位階や勲位が少ない時には、贖銅という方法で補うことが認められています。これによって官当の重みを和らげることができるのです。ただし、贖銅や官当が適用されないケースも存在し、特に重い刑罰を受けた場合には適用されません。

官当を受けた官人は、次の年の正月以降に破毀された官位の一等下の位階を再び与えられます。これは、実質的には処分を受けた年を数えないため、翌々年以降のことになります。また、官人が犯罪を犯した際には、八虐などの特に重大な大罪でない限り、すでに例議によって刑罰が軽減されていることが一般的です。そうした背景もあり、律令制度下の官人は、死罪に至るような重大な犯罪を犯さない限り、法的保護を受けていることが知られています。

このように、官当は律令制の中で官人を取り扱う際の重要な制度であり、その歴史的意義を理解することは、当時の社会システムを理解する上で非常に重要です。

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