贖銅

贖銅についての詳細

贖銅（しょくどう、ぞくどう）とは、日本の古代法制度における独特な罰金の制度であり、実質的には実刑を避けるために利用されました。この制度は、特に養老律令の時代に設けられ、法的な位置づけが明確になりました。一般的には、罪に相当する銅を官司に納めることで、刑罰から免れることが可能でした。

概要

律令制において定められた五罪、すなわち笞罪、杖罪、徒罪、流罪、死罪に対して、贖銅を納付することで法律上の処罰を回避することができました。この制度は、特定の社会的立場や状況に配慮する意図がありました。例えば、老人や子供、身心に障害がある人々に対する優遇措置や、過失による犯罪、または疑わしい罪によって起訴された場合の柔軟な運用がその一例です。

徴収された贖銅の使用先については、傷害罪や誣告罪の場合、被害者に対して分配される一方で、原則的には国家に帰属し、今日の監獄の保全や囚人の生活必需品の購入に充てられていました。このように、贖銅の制度には、法の厳格さと人道的な配慮とが折り合いをつける仕組みが存在していました。

換算率と納付の期限

贖銅の金額は、罪の種類によって異なります。たとえば、笞罪と杖罪はそれぞれ10回の刑罰につき1斤の銅が必要で、杖罪の回数は60回から100回の間に制限されていました。また、徒罪（刑期1-3年）には20-60斤が必要で、流罪の程度に応じて80斤から100斤が求められました。しかし、銅だけでなく、銭や稲、布なども代替品として認められ、986年には60文の銭が1斤の銅に相当すると定められました。

贖銅の納付期限は、罪に応じて異なっており、笞罪は30日、杖罪は40日、徒罪は50日、流罪は60日、死罪は80日という規定がありました。官人の場合、その職務に基づいて減刑されることがあり、その不足分を贖銅で補う必要がありました。これを当贖（とうしょく/とうぞく）と言います。

贖銅の適用と事例

贖銅の制度は、特に官人を対象にした特別な配慮があり、親族や特定の身分を持つ者のための特例が存在していました。流罪やそれ以上の刑において、贖銅による減刑を受けられる特権があったのです。しかし、すべての罪に対して贖銅が認められるわけではなく、特定の罪では適用されないこともありました。

また、贖銅が支払えない者に対しても即時に実刑が適用されるわけではありませんでした。官人の場合はその地位や給料の一部を差し押さえられ、庶民であれば官の労役に従事することで贖銅の代替とされました。

歴史的事例

歴史の中で、贖銅が実際に適用された事例も数多く存在します。946年には、小野道風が部下の不手際により2斤の贖銅を命じられたことがあります。また、1147年には、平清盛が祇園闘乱事件の結果、鳥羽法皇から30斤の贖銅を命じられた事例も有名です。これらの事例からも、贖銅制度が当時の社会においてどれだけ重要な役割を果たしていたかが伺えます。

参考文献

• - 利光三津夫「贖銅」（『国史大辞典 7』）
• - 高塩博「贖罪」「贖銅」（『平安時代史事典』）
• - 赤木志津子「蔭贖」（『平安時代史事典』）
• - 水本浩典「蔭贖」（『日本歴史大事典 1』）

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