定林寺 (秩父市)

定林寺について

定林寺（じょうりんじ）は、埼玉県秩父市に所在する曹洞宗に属する寺院で、実正山という山号を持っています。この寺院の本尊である真言は「おん まか きゃろにきゃ そわか」で、信仰の中心として多くの人々に崇められています。定林寺はその豊かな歴史や文化を背景に、今も訪問者を迎え入れています。

歴史

定林寺の創建時期は明確ではありませんが、壬生良門という武将がその建立に関与したとされています。良門は、家臣を持つ一人前の武将でしたが、彼の粗暴な性格は周囲に苦しみをもたらしていました。ある日、家臣の林太郎定元が良門に対して諌めの言葉を投げかけたところ、逆に追放されることとなりました。この後、定元とその家族は流浪の旅を余儀なくされ、最終的には当地で病に倒れて亡くなりました。

林夫妻の間には一人の息子が存在し、この子は「空照」と呼ばれる僧侶によって引き取られました。その後、良門もまた当地に訪れ、一休みしている際に、定元の死を耳にします。これが良門にとっての深い悔恨の契機となり、定元のために新たな寺を創建することを決意することになります。結果として「定林寺」という名称が付けられることとなり、これが氏の功績を称えるものであることを示しています。

『今昔物語集』においても「壬生良門」が登場しますが、寺院との関連については確証がない状態です。また、現在の定林寺は秩父札所の17番に位置しており、かつての長享の秩父札所番付での1番目に位していた歴史があります。江戸時代の参拝者が秩父往還経由で訪れるようになり、その結果、番付が変更されたとされています。

文化財

定林寺には、埼玉県に指定された銅鐘があります。この鐘は昭和39年の3月27日に有形文化財として指定され、さらに17番札所としては昭和40年1月25日に秩父市の指定史跡に認定されました。このように、定林寺はその文化的価値においても重要な位置を占めています。

交通アクセス

定林寺へのアクセスは比較的容易です。まず、秩父駅からは徒歩で約17分の距離にあります。また、西武秩父駅からもアクセス可能で、西武観光バスの「小鹿野車庫・栗尾ゆき」に乗車し、「札所十七番入口」で下車後、徒歩5分神社に到着します。その他のルートとして、「相生町」経由や「市立病院」経由の場合にはそれぞれの停留所から徒歩数分で辿り着くことができます。

前後の札所

定林寺は秩父札所の一部であり、他の札所との関連も興味深いものです。例えば、札所16の西光寺とは1.3kmの距離でつながっており、17番の定林寺の次は、1.1km離れた18番の神門寺となっています。これらの札所を訪ねることによって、秩父地域の歴史や文化をより深く理解することができるでしょう。

定林寺はその深い歴史的背景とともに、多くの参拝者に愛され続ける場所です。訪れることで、過去と現在の繋がりを感じられる特別な体験が待っています。

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