宜嬪成氏

宜嬪成氏とその生涯

宜嬪成氏（ぎひん せいし、ウィビン ソンシ、의빈 성씨）は、李氏朝鮮の第22代国王である正祖の妃であり、正祖の長男、文孝世子の母親です。彼女は1753年の7月8日に生まれ、昌寧成氏に本貫を持っていました。宜嬪は他の后宮と異なり、女官出身である承恩後宮の一員でした。

生い立ちと内人への道のり

成胤祐の娘として誕生した宜嬪は、名を徳任といいました。父は洪鳳漢の召使いだったため、彼女は母の恵慶宮洪氏のつてを頼りに内人となります。1773年、彼女は正祖の妹たちと共に『郭張兩門録』という小説を筆写したという記録があります。この頃すでに正祖からの愛情を受け始めていましたが、正妃である孝懿王后への配慮から、その愛に応えることを躊躇していたこともあったのです。

正祖との関係

1766年頃から正祖の寵愛を受けるようになりましたが、彼女は2度妊娠するも流産を経験します。その後、1782年の9月7日、ついに文孝世子となる王子を無事に出産し、昭容に昇格します。その翌年には宜嬪に称号が改められ、文孝世子は1784年には正式に世子に冊封されました。彼女の生涯の中で、最も悲劇的な出来事が1786年に訪れます。文孝世子が亡くなり、同年の9月14日には自身も肝硬変のために命を落としたのです。

幸せそうな家庭

宜嬪と正祖との結婚生活にはいくつかの子どもが存在しましたが、長男の文孝世子は早世し、長女も短命で、他の子どもについては不明な点が多いです。文孝世子と宜嬪は共に孝昌墓に埋葬され、正祖と孝懿王后は彼女の死を深く悲しんだと言われています。

埋葬された後の逸話

現在の孝昌公園は、かつて日本の統治下で整備されました。この時、彼女と息子の埋葬地は西三陵に改葬されましたが、ドラマ『イ・サン』では同じ場所に埋葬されているかのように描かれました。実際埋葬されていた土地は若干離れていたため、この情報は視聴者に注意を促すものでありました。また、ドラマ内の描写で用いられた設定や人物は一部フィクションであることも、後に公表されました。

文化的影響とメディアへの登場

宜嬪成氏の生涯は、2007年から2008年にかけて放送されたドラマ『イ・サン』によっても描かれました。彼女を演じたのはハン・ジミンであり、時には子役による演技もあったため、多くの視聴者の心に残っています。また、2021年には『赤い袖先』でもイ・セヨンが登場しました。どちらのドラマも彼女の波乱に満ちた人生を色鮮やかに演出しました。

彼女の人生は短いものでしたが、歴史的に重要な役割を果たし、今でも彼女にまつわる物語は多くの人々に語り継がれています。宜嬪成氏の存在は、李氏朝鮮王朝の歴史において確かな痕跡を残していると言えるでしょう。

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