宝井琴柳

四代目 宝井 琴柳（たからい きんりゅう）

「宝井琴柳」とは、講談師の世界で代々受け継がれる由緒ある名跡です。この項目では、現在活躍されている当代、四代目宝井琴柳について詳細に記述します。なお、宝井琴柳の名跡は過去にも襲名者がおり、特に二代目の存在が確認されています。

当代の四代目宝井琴柳氏は、本名を宮内 政美といい、1951年（昭和26年）2月4日に千葉県流山市に生まれました。高座に上がる際の出囃子には「片しゃぎり」を使用し、定紋は「丸に角立井筒」です。講談師としての活動拠点である講談協会に加え、落語協会にも所属しており、講談協会の理事として協会の運営や発展にも尽力されています。

講談の道へ

講談師としてのキャリアは、1971年（昭和46年）に始まりました。六代目小金井芦州に弟子入りし、前座名として「小金井総州」を名乗ります。この名前は、氏の出身地である千葉県がかつて「総州」と呼ばれていたことに由来するものです。

入門から四年後の1975年（昭和50年）、講談師として一段階上にあたる二ツ目に昇進。この昇進に合わせて、「四代目小金井桜州」へと改名します。しかし、その翌年である1976年（昭和51年）には、芸の道をさらに極めるため、四代目宝井琴鶴の門下へと移る決断をします。師を変えることは講談師にとっては重要な転機であり、この移籍に伴い、名も新たに「宝井鶴州」と改め、新たな師のもとで研鑽を積みました。

そして、1981年（昭和56年）、入門から十年を経て真打に昇進する栄誉を得ました。この真打昇進と同時に、講談師としての大名跡である「四代目宝井琴柳」を襲名。以来、四代目宝井琴柳として、数々の高座を務め、聴衆に歴史物語や武勇伝といった講談の魅力を伝えています。

実績とメディア出演

四代目宝井琴柳氏は、その確かな実力が高く評価されており、これまでに複数の賞を受賞しています。真打昇進前年の1980年（昭和55年）には、第4回講談奨励賞を受賞し、将来有望な講談師として注目を集めました。さらに、真打昇進を果たした1981年（昭和56年）には、第1回国立演芸場花形新人演芸大賞を受賞するなど、若くしてその才能が開花したことを示しています。

高座での活躍に加え、様々なメディアにも登場しています。テレビでは、1973年（昭和48年）から1974年（昭和49年）にかけてNHKの演芸番組「真打ち登場」に出演し、より広い層に講談の存在を知らしめました。また、1982年（昭和57年）の「NHK講談大会」にも出演しています。ラジオでは、2000年（平成12年）から2011年（平成23年）まで、東北放送の番組「それいけミミゾー」にレギュラー出演するなど、長期間にわたり活動しました。これらのメディア出演は、伝統芸能である講談の普及にも大きく貢献しています。

四代目宝井琴柳氏は、長いキャリアを通じて培われた語りと表現力で、聴衆を講談の世界へと惹きつけます。講談協会の理事として、後進の育成や講談界全体の振興にも力を注いでいる、現代講談を代表する講談師の一人です。

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