宝山区 (上海市)

上海市宝山区

宝山区は、中華人民共和国上海市に位置する市轄区であり、上海市の北部に広がっています。区の東部は黄浦江に、北東部は長江に接しており、水運が古くから重要な役割を果たしてきました。区の南側は楊浦区、虹口区、静安区、普陀区と隣接し、西側は嘉定区に、北西側は江蘇省太倉市と接しています。区内は、薀藻浜という河川によって南北に二分されており、呉淞大橋、薀川路大橋、江楊路大橋、塘橋大橋といった橋が南北を結んでいます。

地理と産業

宝山区は、中国最大の鉄鋼メーカーである宝山鋼鉄や、石洞口発電所などの大型企業が立地する工業地域としての側面を持っています。また、上海大学のメインキャンパスがある文教地区でもあります。近年では、2009年に開園した顧村公園が桜の名所として知られるようになり、毎年春には桜祭りが開催され、多くの人々が訪れます。

歴史

宝山区の名前は、区内にある宝山という山に由来しています。1412年、この地域が海岸線に位置していた頃、航海用の標識として築山が築かれ、永楽帝によって「宝山」と命名されました。その後、宝山は1582年に海中に埋没してしまいましたが、その名称は現在まで引き継がれています。宝山区は、元々は江蘇省嘉定県に属していましたが、1724年に県東部を分割して宝山県が設置されました。その後、1928年に宝山区の一部が上海特別市に編入され、1937年以降は全域が上海市に編入されました。行政区の変遷を経て、1988年1月に呉淞区と統合し、現在の宝山区となりました。2005年には、横沙島と長興島が崇明県に移管されています。

行政区画

宝山区は、3つの街道と9つの鎮を管轄しています。

交通網

宝山区は、河川を利用した航路、鉄道網、高速道路などの道路網が発達しており、複合的な交通網が形成されています。区内には、旅客貨物輸送に対応した198の埠頭と535の停泊位置（うち、1万トン級の停泊位置が28個）があります。水路による旅客輸送は年間1216万人に達し、海上コンテナの取扱量は404万TEU、埠頭での貨物取扱量は3500万トンに上ります。また、呉淞国際物流園区が建設され、近代的な物流拠点としての機能も充実しています。

鉄道網としては、上海地下鉄の1号線と3号線が上海中心部まで伸びています。道路網については、外環線（A20）、共和新路混合高架、友誼路、薀川路、宝楊路、鉄力路、鉄山路、水産路、江楊路、陳太路、南陳路、真陳路などの高規格道路が整備されています。

宝山区は、工業、商業、文教、観光など多様な顔を持つ、上海市において重要な地区の一つです。

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