宝島 (真藤順丈の小説)

小説『宝島』

『宝島』（たからじま）は、真藤順丈による小説で、2018年に講談社から発表されました。この作品は、沖縄戦後の歴史的な背景を持つ1952年から1972年にかけて、沖縄がアメリカの支配下に置かれていた時代を舞台にしています。物語は、戦果アギヤーとして知られる孤児たちの生き様を描いたもので、彼らの勇気と友情、そして成長がテーマとなっています。

あらすじ

物語は1952年、米軍基地に忍び込んで物資を奪う孤児たちのグループから始まります。彼らのリーダーである「オンちゃん」は、住民のために薬や木材を奪うなど、勇敢な行動を通じて「伝説」と称えられています。しかし、ある夜に『キャンプ・カデナ』に忍び込んだ際、米軍に追われて突然失踪してしまいます。その後、オンちゃんの親友グスクは警官になり、弟レイはテロリストとしてアンダーグラウンドで生きることになります。一方、オンちゃんに恋心を抱いていたヤマコは教師として新たな道を歩み始めます。各々の人生が重なり合いながら、戦後の沖縄を生き抜いていく様子が描写されます。

登場人物

• - オンちゃん: 戦果アギヤーのリーダーであり、島の英雄。
• - グスク: オンちゃんの親友。
• - レイ: オンちゃんの弟。
• - ヤマコ: オンちゃんの恋人で、教師に。
• - タイラ: 港湾労働者で反米闘争に明け暮れる。
• - チバナ: 特飲街の女性。
• - 国吉: レイの先輩で受刑者。
• - アーヴィン・マーシャル: 米民政府官僚。

受賞歴

この作品は、2018年に第9回山田風太郎賞、2019年には第160回直木三十五賞を受賞しており、沖縄書店大賞の小説部門でも栄光に輝きました。

映画化

映画版『宝島』は、2025年9月19日に公開されました。監督は大友啓史が務め、主演には妻夫木聡が起用されました。物語の深いテーマが、映像としてどのように再現されているのか、注目が集まります。

• - グスク: 妻夫木聡
• - ヤマコ: 広瀬すず
• - レイ: 窪田正孝

制作スタッフ

映画には、脚本に高田亮、音楽に佐藤直紀が加わり、品質の高い作品に仕上げられています。また、沖縄県が後援し、文化庁の助成も受けていることから、地域の文化や歴史にも深く根付いた物語を提供しています。

『宝島』は、ただの歴史小説にとどまらず、人間関係や成長、戦争の悲惨さ、そして希望を描いた作品です。読者は登場人物の心情や沖縄の歴史を通じて、深い感動を味わうことができるでしょう。

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