実体完全性

実体完全性とは

実体完全性（Entity Integrity）は、関係データベースのデータ整合性を維持するための重要な概念です。これは、データベース内の各テーブル（関係）において、以下の2つのルールを保証する特性を指します。

1. 組（行）の一意性: テーブル内のどの行も重複してはならない。
2. 主キーの非NULL性: 主キーを構成するすべての属性（列）はNULL値を持つことができない。

これらのルールを適用することで、データが正確かつ信頼性の高い状態に保たれます。実体完全性は、データベースにおける基本的な制約の一つであり、データの整合性を維持する上で欠かせない役割を果たします。

実体完全性の重要性

実体完全性が保証されることによって、以下のようなメリットが得られます。

データの正確性: 重複した行が存在しないため、データが正確になります。
データの特定: 主キーによって各行を一意に識別できるため、データの検索や参照が容易になります。
データの整合性: NULL値が許容されない主キーによって、関連するデータが常に存在することが保証されます。これにより、データ間の矛盾を防ぐことができます。

実体完全性の具体的な例

例えば、従業員テーブルを考えてみましょう。このテーブルには、従業員ID、氏名、部署などの列が含まれているとします。従業員IDは主キーとして設定されており、実体完全性の制約が適用されると、以下のようになります。

同じ従業員IDを持つ行は存在できません。
従業員IDの列にNULL値を設定することはできません。

このように、実体完全性は、データが整合性を保ち、効率的に管理されるために必要なルールです。

実体完全性に関連する用語

一意性制約: 特定の列の値がテーブル内で一意であることを保証する制約。実体完全性は、主キー列に一意性制約を適用することで実現されます。
主キー: テーブル内の各行を一意に識別するための列または列の組み合わせ。実体完全性制約において、主キーはNULL値を持つことができません。
候補キー: テーブル内で一意に識別できる列または列の組み合わせで、主キーの候補となるもの。主キーは候補キーの中から選択されます。
参照整合性: 異なるテーブル間の関連性を保つための制約。外部キーを使用し、参照先のテーブルに存在するデータを参照することを保証します。
関係データベース管理システム (RDBMS): 関係データベースを管理するためのシステムで、実体完全性などの制約を実装し、データの整合性を保ちます。

まとめ

実体完全性は、関係データベースの基礎となる重要な概念であり、データの一貫性と信頼性を保つために不可欠です。この制約を正しく理解し、適用することで、高品質なデータベースを構築・運用することが可能になります。

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