候補キー
候補キーとは
候補キーは、関係データベースの関係モデルにおいて、テーブル（関係）内の各行を一意に識別するために用いられる、最小限の属性または属性の集合です。スーパーキーの中から、冗長な属性を取り除いた、既約（これ以上属性を減らせない）なものを指します。つまり、候補キーを構成する属性のいずれか一つでも欠けると、行の一意性を保証できなくなる状態です。この性質から、候補キーは「極小」であるとも言えます。
候補キーの役割
候補キーは、テーブル内の各行を特定するための「アドレス」または「識別子」として機能します。テーブル内のデータにアクセスする際、どの行を操作・参照するかを正確に特定するために不可欠な概念です。また、候補キーは、その名の通り、主キーの候補となるキーでもあります。テーブルには、少なくとも一つ以上の候補キーが存在し、複数の候補キーを持つテーブルも存在します。
具体例
例えば、「市町村」テーブルに「市町村ID」、「市町村名」、「都道府県名」という属性があるとします。
- - 市町村ID: 各市町村に一意に割り当てられたIDは、単独で候補キーとなります。
- - {市町村名, 都道府県名}: 市町村名は、全国に同名のものが存在する可能性があるため、単独では候補キーにはなれません。しかし、都道府県名と組み合わせることで、一意に市町村を特定できるため、候補キーとなります。
NULL値の扱いについて
候補キーにNULL値を許容するかについては、様々な意見があります。
候補キーのうち任意の一つを主キーと定義する立場からは、主キーにNULL値を許容しないとすれば、候補キーにもNULL値を許容すべきではない、と考えるのが自然でしょう。
一意性制約との違い
SQLでテーブルを作成する際に設定する一意性制約（`CREATE UNIQUE INDEX`文）は、候補キーと似た概念ですが、厳密には異なります。一意性制約は、NULL値を許容する場合があります。この点が、候補キーとの大きな違いです。SQLにおける一意性制約の取り扱いが、候補キーの議論に直接的な影響を与えるわけではありません。
まとめ
候補キーは、関係データベースにおいて、行を一意に識別するための重要な役割を担います。冗長性を排除し、最小限の属性で一意性を実現するという性質から、主キー選定の基礎となる概念です。NULL値の扱いに関しては議論があるものの、候補キーの理解は、適切なデータベース設計を行う上で欠かせません。
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