実業団

実業団とは

実業団（じつぎょうだん）は、企業や組合の従業員で構成されたスポーツチームのことです。この形態は、昭和期の日本におけるアマチュアスポーツの中心的なモデルの一つとして広く認識されています。実業団の名前は、戦前から現在にかけて存在していますが、戦後は特定の企業により支えられた「企業スポーツ」の一形態として定義されることが増えてきました。

実業団の定義

実業団の定義については、武藤泰明による以下の五つの要件があります：
1. 選手はその企業の正社員で、非正規の雇用は対象外です。
2. 社員は本業の業務に従事しながら、練習や競技会に参加しますが、勤怠管理は一般社員とは異なる場合があります。
3. 競技を引退後は、一般社員として社業に従事します。
4. チームは法人格を持たない企業の内部組織です。
5. 運営費はオーナー企業が負担し、企業がメインスポンサーにあたります。

実業団は、民間企業だけでなく、国や地方公共団体、公益法人など多様な組織によっても構成されています。また、企業の実業団がないマイナースポーツでは、教育機関やスポーツ財団が選手を支えることがよくあります。

実業団の運営形態

実業団の名称は通常、企業名の後に種目名を付けて表記されます（例：「ヱスビー食品陸上部」）。ただし、最近の実業団リーグでは、古めかしい名称を避けるために横文字のチーム名を使用することが一般的になっています。選手層は幅広く、許可された範囲内でのアマチュアとして活動し、地域案内のスポーツリーグに参加することが可能です。

高水準の実業団リーグには、SVリーグやジャパンラグビーリーグワン、日本ハンドボールリーグなどがあります。これらのリーグでは多くの観客を惹きつけており、特に社会人野球などはプロ選手を輩出することが珍しくありません。

選手の職業と実業団の関係

実業団に所属する選手は、企業の社員として雇用されていますが、その待遇は実業団によって異なります。競技活動に専念できる環境が整っている一方で、一般の業務に従事する選手も多く、スケジュールには差が見られます。アマチュアであるため、選手活動以外の報酬を受け取らないという建前がありますが、スポーツ手当を通じて成績に応じた報酬が支給されることもあります。

実業団の歴史的背景

実業団は日本において1911年に設立された日光精銅所アイスホッケー部に起源を持ち、昭和初期に多くの企業が設立したことにより広まりました。戦後は経済復興の中で急成長を遂げ、特に企業の福利厚生として整備されたスポーツ施設が選手を引きつけました。企業側はスポーツを通じた従業員の士気向上や企業宣伝に期待を寄せ、投資を行うようになりました。

現在の実業団

しかし平成以後、実業団は次々と消滅していく傾向にありました。その要因には、企業の支援が薄れることやプロスポーツ化の進展、国内外での競技の盛り上がりなどが影響しています。特に、企業が自社名を付けたチームの素晴らしさが薄れてきたことや、地元密着のクラブチームへの移行が進む中で、実業団は厳しい状況に直面しています。

近年では、企業が実業団からクラブチームへと移行するケースや、他の企業スポンサーを獲得する動きもみられます。競技人口の多いスポーツの中では、契約選手の採用が増加していますが、選手は未だに引退後の生活に不安を抱えています。

結論

実業団は、日本のスポーツ文化において重要な役割を果たしてきましたが、時代の変化とともにそのシステムも変化しています。今後、実業団が新たな形に進化することが求められています。つまり、社会人としての視点とアスリートとしての活動が両立し、選手たちが安心してスポーツ活動を続けられる環境づくりが必要とされているのです。

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