実質賃料

実質賃料（じっしつちんりょう）とは

実質賃料は、不動産に関する賃貸借の中で支払われるすべての経済的対価を指します。この概念は英語では「real rent」と訳され、不動産鑑定評価基準に基づいています。実質賃料は、通常、賃貸物件の経済的価値を具体的に示す重要な指標となります。具体的には、実質賃料は以下の要素から構成されます。

支払賃料

支払賃料とは、各支払期に実際に支払われる賃料のことを指し、この支払賃料は支払純賃料と必要な諸経費などから成り立っています。また、ここで言う支払純賃料は、実質賃料から必要経費を引いたものであり、純賃料という用語を使う際は注意が必要です。両者は異なる概念であり、理解することが重要です。

必要諸経費等

実質賃料に含まれる必要諸経費には、さまざまな費用が該当し、日本において不動産の賃貸借に関する慣行として、一時金の受領が一般的です。これに該当するものには、賃料の前払いとしての性質を持つ権利金や礼金、さらには敷金や保証金といった預り金的性質を持つ一時金が含まれます。

その他の収入

賃貸物件の中には、賃料にその他の収入や付加使用料、共益費が加わることがあります。この際、貸主が借主へ請求する費用が、実際にかかった費用を超えるケースも見受けられます。この場合、超過分は実質賃料の一部として考慮されます。これらの追加費用が賃料評価を左右するため、契約締結時には十分な確認が必要です。

賃料の評価方法

不動産鑑定評価においては、賃料の算定期間を考慮して実質賃料を求める事が原則です。ただし、賃料が算定される期間や支払い時期に関する特定の条件、または一時金の取り決めがある場合は、実質賃料だけでなく、支払賃料も求められることがあります。この際には、不動産鑑定評価報告書に実質賃料が括弧書きで記載されます。

消費者保護の視点

日本では、消費者とのトラブルを未然に防ぐため、日本賃貸住宅管理協会が「実質賃料表示」の推奨を行っています。これにより、賃貸側の不動産の経済価値は、実質賃料に基づく収益性を基準として評価されます。実質賃料の把握は不動産の取引において極めて重要であり、賃貸者と借主双方にとって有益な情報となります。

参考文献

• - 日本不動産鑑定協会 編著. (2010). 新・要説不動産鑑定評価基準. 住宅新報社. ISBN9784789232296. pp. 194-197.
• - 不動産用語集｜R.E.words

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