宣公 (魯)

宣公の生涯

宣公（せんこう）は、春秋時代の魯の第21代君主であり、その名は俀（たい）または倭（い）と伝えられています。父は文公であり、文公の崩御を受けて魯国の君主となりました。彼の治世は18年間続きましたが、その即位は、当時の魯国の政治情勢が複雑に絡み合った、波乱に満ちたものでした。

文公には正夫人である姜氏との間に二人の公子がいましたが、東門襄仲（公子遂、荘公の子）が、文公の第二夫人である敬嬴と密通していました。この密通の結果、襄仲は姜氏の二人の公子を殺害し、敬嬴の子である俀を擁立して君主にしました。この事件により、姜氏は実家である斉に帰国せざるを得なくなりました。

当時の魯国では、すでに三桓氏が政治の実権を掌握していました。三桓氏とは、魯の桓公の子孫である孟孫氏、叔孫氏、季孫氏の三家を指し、彼らは代々、魯の政治において大きな影響力を持っていました。

このような状況下で、襄仲の子である公孫帰父は、三桓氏の勢力を削ぐことを画策しました。彼は、晋の力を借りて三桓氏を排除しようと試みましたが、この計画は失敗に終わります。公孫帰父が晋に滞在している間に、宣公が亡くなってしまったのです。

宣公の死後、公孫帰父は斉に逃亡し、その後の魯国は新たな展開を迎えることになります。宣公の治世は、三桓氏の台頭、晋との関係、そして内乱の影が色濃く残る時代であり、その後の魯の歴史に大きな影響を与える出来事が数多く起こりました。

宣公の生涯は、当時の魯国の政治情勢と、君主の地位をめぐる複雑な人間関係が絡み合ったものであり、春秋時代の激しい社会変動の一端を垣間見ることができると言えるでしょう。

彼の治世は短く、また波乱に満ちたものでしたが、宣公は魯の歴史において重要な役割を果たした人物として記憶されています。

参考文献
* 陸峻嶺、林幹合編、『中国歴代各族紀年表』、1982年、台北、木鐸出版社

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