宣宗 (唐)

宣宗（せんそう）

宣宗は、唐朝の第19代皇帝であり、憲宗の十三男にあたります。穆宗の弟、武宗の叔父という関係です。

その治世は一定の成果を挙げ、「小太宗」と称されることもありますが、戦乱によって当時の記録が失われたため、具体的な業績については不明な点が多いです。一説には、高麗の太祖王建の祖父である王帝建は、宣宗の庶子であったとも伝えられています（『編年綱目』より）。

生涯

即位前は光王に封じられていました。武宗が危篤に陥ると、宦官の馬元贄によって異例の皇太叔に擁立され、武宗の死後に皇帝の座に就きます。即位に際して、名を怡から忱に改めました。

聡明であった宣宗は、衰退した唐王朝の再建を目指し、裴休などの有能な人材を積極的に登用し、内政に力を注ぎました。特に、長きにわたって唐の政治を混乱させていた李徳裕の一派を排除し、牛僧孺派を抑制するなど、重臣たちによる派閥闘争（牛李の党争）の沈静化に努めました。また、宦官勢力の削減を図ると同時に、宦官への穏健な抑制政策を採用することで、社会の安定を目指しました。

文化面においては、武宗時代に出された廃仏令（会昌の廃仏）を廃止し、仏教を保護する政策を打ち出しました。これにより、文化の復興にも貢献しています。

しかし、晩年になると道教に深く傾倒し、不老長寿を求めるようになったと伝えられています。大中13年（859年）、丹薬による中毒症状が原因で、50歳という若さで崩御しました。

逸話

『唐語林』には、宣宗が越地出身の寵姫を深く愛していたという逸話が残されています。その寵姫は絶世の美女であり、当初は宣宗に深く愛されていました。しかし、次第に宣宗は、かつての楊貴妃のような災いが再び起こることを危惧するようになります。大臣たちは、寵姫を後宮から追放するように進言しましたが、宣宗は「宮を出るだけでは、かえって彼女を恋しく思うだろう」という理由で、苦渋の決断を下し、寵姫に毒酒を賜ったとされています。

宗室

側室:

晁美人（贈元昭皇后）
趙昭儀
呉昭儀
張婕妤
柳婕妤
梁美人
仇才人
史才人
羅才人
長城郡夫人銭氏
武威郡夫人曹氏
尚服羅氏
陳氏

子女:

長男：鄆王李温（後の懿宗） - 第20代皇帝
皇子：雍王李渼（靖懐太子）、雅王李涇、夔王李滋、慶王李沂、濮王李沢、鄂王李潤、懐王李洽、昭王李汭、康王李汶、衛王李灌、広王李澭
長女：万寿公主
皇女：永福公主、西華公主、和義公主、盛唐公主、平原公主、唐陽公主、許昌公主

登場作品

「宮心計」(2009年、香港ドラマ、日本未公開、演：陳豪)

もう一度検索