室伏きみ子

室伏 きみ子（むろふし きみこ）氏は、1947年4月9日に埼玉県（現在のさいたま市）に生まれ、日本の生物学者、児童文学作家として多方面で活躍しています。1976年には東京大学大学院医学系研究科博士課程を修了し、「真核細胞におけるDNAポリメラーゼ活性の調節」に関する研究で医学博士の学位を取得しました。

学歴と初期の研究活動

室伏氏は、お茶の水女子大学附属中学校・高等学校を経て、1970年にお茶の水女子大学理学部生物学科を卒業。同大学院理学研究科修士課程を修了後、東京大学大学院で研究を深め、医学博士号を取得しました。その後、1977年からニューヨークのThe Public Health Research InstituteでResearch Associateとして活動し、国際的な研究キャリアの第一歩を踏み出しました。

お茶の水女子大学でのキャリア

1983年にお茶の水女子大学理学部の助手として着任以来、講師、教授へと昇進し、長きにわたり同大学の研究・教育に貢献しました。2001年には理学部長、2003年には理事・副学長を務め、大学運営の中枢を担うようになりました。2013年に定年退職し名誉教授となりますが、同年から寄附研究部門教授として研究を続け、2015年から2021年までの6年間、お茶の水女子大学の学長として大学経営を牽引しました。

公的な活動と社会貢献

室伏氏は、大学での役職と並行して、国の重要な機関や委員会で多くの役割を果たしました。1997年からは日本学術会議において、細胞生物学研究連絡委員会委員長、若者の理科離れ問題特別委員会（後に若者の科学力増進特別委員会）幹事、研究に係る評価システムの在り方検討委員会委員長など、多岐にわたる委員会の幹事や委員長を歴任し、日本の学術振興と科学技術政策に深く関与しました。また、経済産業省や文部科学省の独立行政法人評価委員会や審議会委員としても活動し、産業技術や学術研究の評価、教育政策の策定に関わりました。特に、内閣府男女共同参画会議議員としては、男女共同参画の推進にも尽力しました。

国際交流への貢献

国際的な活動も活発に行い、フランス・ストラスブール大学には1999年と2004年に客員教授として招かれ、日仏間の学術交流に貢献しました。日仏共同博士課程プログラムの設立・運営に協力し、両大学間の交流協定締結を通じて、学生や研究者の国際的な活動を推進しました。これらの功績が認められ、2013年にはフランス政府より教育功労章シュヴァリエを授与され、2021年にはストラスブール大学名誉博士号を授与されています。

多様な役職と現在の活動

大学や国の機関以外にも、様々な組織で重要な役職を務めています。ブリヂストンやアンジェスでは社外取締役として企業経営に参画し、NHK経営委員会委員、日本医療研究開発機構（AMED）監事、国立大学協会理事・副会長、三菱財団理事、日本国際教育支援協会評議員など、その活動範囲は広範にわたります。2023年からはビューティ&ウェルネス専門職大学の学長にも就任し、新たな教育機関の運営に携わっています。

著書と著作活動

専門である生物学や生命科学に関する多くの著書、共著、編著、監修書を出版しています。代表的な著書には、『絵とき生命科学の知識』、『ストレスの生物学』、『図解生命科学』などがあり、専門知識を分かりやすく解説することに努めています。また、『こぐま園のプッチー』シリーズなどの児童文学作品も執筆しており、科学者としての知見と豊かな感性を活かした創作活動も行っています。科学と社会の接点を築く活動として、「サイエンスカフェ」に関する編著書も複数刊行しています。

室伏きみ子氏は、研究者、教育者、行政官、作家として、日本の科学、教育、社会の発展に多大な貢献を続けています。

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