室戸型給炭艦

室戸型給炭艦

室戸型給炭艦（むろとがたきゅうたんかん）は、日本海軍の補助艦として建造された艦船の一種であり、主に石炭を運ぶために設計されました。この艦型は、第一次世界大戦の後期に必要性が高まり、民間の運送船の供給が逼迫していた状況を背景として誕生しました。

建造の背景

第一次世界大戦の影響で、海軍は民間船に対する依存度が増し、賃貸料が高騰しました。また、石炭価格の上昇も後押しとなり、1917年9月には三菱での6,000トン積運送船建造が提案されました。この提案では、シンガポールや台湾からの石炭輸送について民間と海軍運送船でのコスト比較が行われ、その結果、海軍が所有する運送船の運搬が経済的と評価されました。

この提案は迅速に承認され、さらに海軍の艦艇の行動範囲が広がる中で、ハワイからの石炭輸入も視野に入れ、もう1隻の建造が決定されました。

艦艇の概要

室戸型は3島型の貨物船であり、民間の貨物船と大部分が共通していますが、艦の前後には12cm砲が各1門装備されています。一方で、アメリカ海軍の同様の艦艇には大規模な給炭設備が備わっていましたが、この艦型にはそのような設備はありませんでした。

艦の機能と改装

1番艦「室戸」は、1932年に臨時の病院船設備を搭載し、船橋の改修が行われました。これにより「野島」との見分けも容易になりました。この際、12cm砲は8cm高角砲に換装されています。

2番艦「野島」は、1930年にボイラーの交換が行われ、速力が14ノットに向上しました。また、同様に1932年には砲が8cm高角砲に変更されました。

戦時での活動

両艦ともに日中戦争および太平洋戦争に参加しました。「室戸」は病院船としての任務を果たしつつ、輸送作業も担当しました。一方で「野島」は、主に輸送任務に精力的に従事しました。しかし、両艦ともに戦争の激化の中で戦没しました。

同型艦の運命

• - 室戸: 1918年12月7日竣工（建造所：三菱神戸）、1944年10月22日に沈没しました。
• - 野島: 1919年3月31日竣工（建造所：三菱神戸）、1943年3月3日に沈没しました。

このように、室戸型給炭艦は日本海軍における石炭の輸送と艦艇への補給に貢献し、その時代の重要な役割を果たしました。現在では軍事史の中で重要な位置を占めており、艦艇の技術の進化や軍事戦略についての研究に寄与しています。

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