宮原博昭

宮原博昭：学研を導く経営者

宮原博昭氏は、1959年7月8日生まれの実業家であり、株式会社学研ホールディングスの代表取締役社長を務めています。その他にも、一般社団法人日本雑誌協会の理事長、公益財団法人古岡奨学会の代表理事など、多岐にわたる要職を兼任しています。

生い立ちと学歴

広島県呉市で生まれた宮原氏は、1982年に防衛大学校を卒業後、貿易商社を経て1986年に株式会社学習研究社（現：学研ホールディングス）に入社しました。父親は医師であり、宮原氏の名前には広島大学で博士号を取得した記念という意味が込められています。

学研でのキャリア

学研入社後、宮原氏は着実にキャリアを重ね、2003年に学研教室事業部長、2009年には学研の取締役、そして学研ホールディングスの取締役へと昇進しました。2010年には、株式会社学研ホールディングスの代表取締役社長に就任。以降、15期連続の増収を達成し、売上高は34年ぶりの過去最高を記録するなど、V字回復を成し遂げました。

経営哲学と人物像

宮原氏の座右の銘は「逡巡の罪」です。これは、行動せずに後悔するよりも、行動して失敗する方が良いという考えに基づいています。常に1％の可能性にかけ、徹底的に挑戦することを信条としています。また、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」や「ノブレス・オブリージュ」を信条とし、誰に対しても敬意を払い、丁寧な言葉遣いを心がけています。

趣味は飛行機の操縦であり、社長になっていなければドクターヘリのパイロットになりたいと考えていたそうです。逆風を成長の糧とする考えを持ち、著書『逆風に向かう社員になれ』にもその哲学が表れています。

幼少期には社会性を身につけるため、ルーテル教会の日曜学校やカブスカウトに通っていました。中学時代は野球部に所属し、神戸市大会で優勝。高校は、白陵高校を創設した三木省吾氏に勧められ、同校に進学。高校時代の卒業生の講演がきっかけで防衛大学校への進学を決意しました。

防衛大時代は戦闘機のパイロットを目指し、厳しい訓練に励む一方で、読書にも熱中し、約1500冊の本を読破しました。寮生活を通じて、努力次第で人生は決まるという信念を確立。「一燈を提げて暗夜を行く」という佐藤一斎の言葉を指針とし、困難な状況でも希望を失わずに進むことを心がけています。

学研再建への道

学研入社後、宮原氏は当初の仕事内容に不満を感じ退職を考えましたが、上司の熱意に打たれ思いとどまります。神戸支社時代には、学研教室の売上を全国1位にするという目標を掲げ、様々な改革を推進し、支社の業績向上に大きく貢献しました。

阪神・淡路大震災の際には、書籍の持つ力と責任を痛感し、支社の立て直しに奔走。全国支社の閉鎖が始まる中、学研教室を存続させるために47の事務所設置を提案し、実現させました。

社長就任時は、学研は経営難に陥っていましたが、防衛大で学んだ作戦立案方式を応用し、様々な可能性を検討。祖業である出版を守りながら、新規事業への投資を抑制するソフトランディングのプランを選択しました。社内改革を断行し、社員の意識改革や新規事業の創出を促しました。

グローバル展開とM&A戦略

教育事業のグローバル化を推進し、インドやタイで会員数を増やしました。また、M&Aを積極的に展開し、ベトナムの企業との資本提携を通じて、教材の採用やSTEAM教育の導入を目指しています。日本型M&Aを重視し、シナジー効果を生むための交渉に時間をかけることを特徴としています。

社会貢献への想い

古岡秀人氏の思想を受け継ぎ、教育格差をなくすことを目標に掲げています。古岡奨学会を通じて母子家庭の高校進学を支援し、教育DXの推進を通じて地域や所得による教育格差の解消を目指しています。

宮原博昭氏は、学研ホールディングスの社長として、経営手腕を発揮するだけでなく、教育への情熱と社会貢献への強い想いを持つ人物です。彼のリーダーシップのもと、学研は今後も教育分野で新たな価値を提供し続けるでしょう。

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