宮坂静生

宮坂静生（みやさか しずお）は、1937年11月4日生まれの日本の俳人、国文学者です。本名は敏夫（としお）といい、長野県千曲市に生まれ、松本市で育ちました。信州大学で近世文学を専攻し、卒業後は長野県の公立高校で教鞭を執りました。その後、信州大学医学部保健学科の助教授、教授を経て、2001年に定年退官し、同大学の名誉[[教授]]となりました。大学では、近世および近現代国文学、日本人の死生観などを専門として研究しました。

俳句は14歳から始め、18歳から俳誌「若葉」に投句し、富安風生、加倉井秋をに師事しました。1962年には、「龍膽」の編集長となり、同誌を小諸から発行しました。1968年には、藤田湘子に師事し、「鷹」に入会、翌年には無鑑査同人となりましたが、1995年に退会しました。1978年には、俳誌「岳」（たけ）を創刊し、主宰として活動しています。

宮坂静生の俳句の特徴は、風土詠を得意とすることです。彼は、風土を概念的に捉えるのではなく、原始感覚や身体感覚を通して、その土地が持つ荒々しい表情である「地貌」を捉えることを提唱しました。また、標準語化された季語体系に疑問を抱き、信州をはじめとする全国各地の特徴的な「地貌季語」を蒐集しています。独自の視点から季語の本質を問い直し、俳句の新たな可能性を追求する姿勢は、多くの俳人に影響を与えました。

宮坂静生は、数々の賞を受賞しています。1995年には、第45回現代俳句協会賞を受賞。2001年には、第1回山本健吉文学賞を受賞。2006年には、『語りかける季語 ゆるやかな日本』で第58回読売文学賞（随筆・紀行賞）を受賞。2012年には、『雛土蔵』で第11回俳句四季大賞を受賞しました。また、同年には現代俳句協会会長に就任しました。2014年には、第21回信毎賞を受賞。2018年には、第15回みなづき賞を受賞。2019年には、第19回現代俳句大賞を受賞。2021年には、『草魂』で第36回詩歌文学館賞を受賞しました。これらの受賞歴からも、彼の俳句界における貢献の大きさが窺えます。

著書も多数あり、『青胡桃 句集』(1964年)を始め、『夢の像 俳人編』(1976年)、『俳句の出発 子規と虚子のあいだ』(1979年)、『山開 句集』(1979年)、『樹下 句集』(1983年)、『正岡子規と上原三川 日本派俳句運動の伝播の状況』(1984年)、『春の鹿 句集』(1988年)、『虚子以後』(1990年)、『俳句第一歩』(1992年)、『宮坂静生』(1994年)、『虚子の小諸 評釈「小諸百句」および「小諸時代」』(1995年)、『俳句原始感覚』(1995年)、『火に椿 句集』(1995年)、『子規秀句考 鑑賞と批評』(1996年)、『小林一茶』(1997年)、『俳句からだ感覚』(2000年)、『山の牧 句集』(2000年)、『正岡子規 死生観を見据えて』(2001年)、『雪そして虚空へ』(2001年)、『鳥 句集』(2003年)、『俳句地貌論 21世紀の俳句へ』(2003年)、『宙 句集』(2005年)、『語りかける季語ゆるやかな日本』(2006年)、『全景宮坂静生』(2008年)、『ゆたかなる季語こまやかな日本』(2008年)、『季語の誕生』(2009年)、『雛土蔵 宮坂静生句集』(2011年)、『昭和を詠う』(2012年)、『草泊 俳日記2013 句集』(2015年)、『噴井 句集』(2016年)、『句集 草魂』(2020年)などがあります。共著・編著も多数手掛けており、俳句界の発展に大きく貢献しています。

宮坂静生の業績は、俳句の新たな地平を切り開いただけでなく、日本の文学や文化全体への貢献も大きいと言えるでしょう。彼の独自の視点と表現は、今後も多くの人々に影響を与え続けることでしょう。

もう一度検索