宮城県水産高等学校

宮城県水産高等学校

宮城県水産高等学校（みやぎけん すいさんこうとうがっこう）は、宮城県石巻市宇田川町に位置する県立の専門高等学校です。地元では「宮水」（みやすい）の愛称で親しまれています。

沿革

本校の起源は古く、明治29年（1896年）に石巻市湊において牡鹿郡簡易水産学校として創立されたことに遡ります。長い歴史の中で水産教育の中心的な役割を担ってきましたが、平成23年（2011年）に発生した東日本大震災では、校舎や敷地が津波により甚大な被害を受けました。しかし、この困難を乗り越え、平成30年（2018年）には新しい校舎が完成し、教育環境が一新されました。学科体制にも変更があり、平成26年（2014年）には情報科学科の生徒募集が停止されています。

教育課程

教育課程としては、全日制課程と専攻科を設置しています。

全日制課程には、海洋総合科が設けられており、水産・海洋分野の幅広い専門知識と技術を学ぶことができます。海洋総合科には、生徒の興味や将来の進路に応じた多様な類型が用意されています。

• - 航海技術類型: 船舶の運航に関する知識や操船技術を習得します。
• - 機関工学類型: 船舶機関の構造、運転、保守管理について学びます。
• - 生物環境類型: 水生生物の生態や増養殖技術、海洋環境について探究します。
• - フードビジネス類型: 水産物の加工、流通、販売などに関する知識や技術を身につけます。
• - 調理類型: 水産物を含む食材を用いた調理技術や食品衛生について実践的に学びます。

専攻科は2年制で、卒業後のキャリアアップを目指すためのより高度な専門教育を行います。専攻科には航海コースと機関コースがあり、主に3級海技士免許の取得を目指します。海技士免許取得に必須となる乗船履歴を確保するため、専攻科の1年生は年間を通じて実習船に乗船し、実践的な訓練を積みます。

実習船による長期航海

宮城県水産高等学校の教育の大きな特色の一つに、実習船「宮城丸」を用いた実践的な航海実習があります。特に海洋総合科の航海技術類型および機関工学類型の生徒は、年間数回の長期航海に参加します。この実習では、遠洋漁業や外洋航海に必要な専門知識や技術を習得し、船上での共同生活を通じて協調性や規律を学びます。実習航路の中には、ハワイまでの往復航海のような本格的なものも含まれます。なお、実習の内容や時期によっては、宮城県気仙沼向洋高等学校と合同で実習を行うこともあります。

学校生活

学習活動以外では、活発な部活動が行われています。運動部は柔道、剣道、空手道、相撲、卓球、ソフトテニス、野球、ラグビー、サッカー、陸上、水泳、ヨット、バスケットボール、バレーボールなど多岐にわたります。文化部では増殖研究部、情報無線研究部、水産資源技術部、調理研究部、JRC部、書道部などが活動しており、水産分野の専門性を深める部活動も盛んです。また、機関愛好会のような特色ある愛好会も存在します。

アクセス

JR石巻線渡波駅から徒歩約5分という、比較的アクセスしやすい立地にあります。

主な卒業生

これまでに多くの有為な人材を社会に送り出しており、中には元プロ野球選手の阿部良男氏や、ラグビー選手の池田渉氏、木村優太氏などがいます。

宮城県水産高等学校は、明治以来の伝統を受け継ぎつつ、変化する時代と水産業界のニーズに対応した教育を展開し、未来の水産業を担う人材育成に貢献しています。

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