宮岡等

宮岡 等（みやおか ひとし）氏は、1955年に高知県で生まれた日本の著名な医学者、精神科医です。特に精神医学の分野で長年にわたり教育研究活動に従事し、現在は北里大学の名誉教授を務めています。

経歴

宮岡氏は、1974年に土佐高等学校を卒業後、慶應義塾大学医学部医学科へ進学。1981年に同大学を卒業し、慶應義塾大学病院で医師としてのキャリアをスタートさせました。その後、同大学の大学院医学研究科に進み、神経精神医学を専攻して1988年に博士課程を修了、医学博士の学位を取得しています。

大学院修了後は、東京都済生会中央病院精神神経科に勤務。同年からは母校である慶應義塾大学医学部の精神神経科で助手も務めました。1992年には昭和大学医学部精神科の講師に就任し、1996年には同助教授に昇任するなど、教育者としての道を着実に歩みました。

1999年からは、北里大学医学部精神科学の主任教授として迎え入れられ、長きにわたり同学部の精神医学講座を牽引しました。同年、昭和大学医学部精神科の客員教授も兼任しています。さらに、2006年から北里大学東病院の副院長を兼務するなど、教育・研究のみならず、医療機関の運営にも携わりました。

学会活動においても中心的な役割を担い、2010年には第110回日本精神神経学会学術総会の大会会長を務めるなど、日本の精神医学界の発展に貢献しています。

著作活動

宮岡氏は精力的に執筆活動を行っており、精神医学に関する専門書から、広く一般向けの啓発書まで、多数の著作を世に送り出しています。

単著としては、内科医が精神症状に適切に対応するための手引きである『内科医のための精神症状の見方と対応』（1995年）をはじめ、現代のうつ病医療が抱える課題に鋭く切り込んだ『うつ病医療の危機』（2014年）、精神科医の基本的な診察技法を解説した『こころを診る技術-精神科面接と初診時対応の基本』（2014年）などがあります。

共著書も多く、救急医療現場での精神障害患者への対応をまとめた『精神障害のある救急患者対応マニュアル』（上條吉人氏と共著、2007年）、心身の健康を考える『脳とこころのプライマリケア』シリーズ（日野原重明氏、堀口淳氏と共著）、精神疾患を誰がどのように診るべきかを論じた『こころの病は、誰が診る』（久史麿氏と共著、2011年）、近年注目される大人の発達障害について解説した『大人の発達障害ってそういうことだったのか』（内山登紀夫氏と共著、2013年）、精神医学の主要分野を体系的に紹介する『精神医学の羅針盤』（黒木俊秀氏と共著、2014年）など、幅広いテーマで他分野の研究者や臨床家とも協働しています。

これらの著作は、精神科医を目指す学生や若手医師、他の診療科の医師、さらには精神疾患に関心を持つ一般読者にとっても有益な情報源となっています。

貢献と影響

宮岡氏は、長年の教育活動を通じて数多くの後進を育成し、また臨床医として多くの患者と向き合ってきました。その研究・臨床経験に基づいた著作は、日本の精神医学の発展と普及に大きく寄与しています。特に、うつ病や発達障害など現代社会で重要な課題となっている精神疾患に対する理解を深める上で、その役割は大きいと言えます。

専門分野は精神医学、精神病理学に及び、うつ病や発達障害の診断・治療にも深い知見を持っています。北里大学名誉教授として、今後もその経験と知識は精神医療分野に影響を与え続けることでしょう。

（関連事項：精神医学、精神病理学、うつ病、発達障害、精神科治療学）

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