宮崎県民歌

宮崎県民歌の概要

宮崎県民歌（みやざきけんみんか）は、宮崎県の県民を代表する歌として広く親しまれています。実は、この県民歌は1934年と1964年にそれぞれ異なる曲として制定された2つのバージョンが存在します。本文では現在の県民歌と初代の県民歌について、その背景や特徴を詳しく解説します。

現行の宮崎県民歌の制定

1963年、宮崎県の再置80周年を祝い、旧県民歌に代わる新しい県民歌を設けることが決まりました。この歌の歌詞は公募され、362点の応募がありました。その中から日南市在住の酒井祐春氏の作品が最優秀賞に選ばれ、作曲は飯田信夫氏によって手掛けられました。この新たな県民歌は1964年6月30日に宮崎市の公会堂で発表され、歌手の立川澄人さんと大谷冽子さんが演奏しました。

この際、楽曲はビクターレコードからシングルとして発売され、「宮崎県 県民歌」というタイトルが付けられています。B面にはインストゥルメンタルの行進曲バージョンである「宮崎県 県民歌行進曲」が収録されています。さらに、1979年には日本のふるさと宮崎国体が開催され、東芝EMIから出たデューク・エイセスのシングル盤にもこの曲が収録されています。

現在、この県民歌は宮崎県が主催する様々な競技会で演奏されており、県内の公立小中学校でも授業の中で歌が教えられています。また、2014年には県民歌制定50周年を記念して、宮崎駅の発車メロディとしても使用されるほど、地域に根付いた楽曲となっています。

初代の宮崎県民歌

初代の宮崎県民歌は1934年、神武東遷2600年を記念した行事の一環として、県と大阪毎日新聞宮崎支局が合同で歌詞の公募を行った結果、誕生しました。その際、一等入選者として選ばれたのは、当時の西臼杵郡の郡長を務めていた桑原節次氏の作品です。この時、官選知事の君島清吉氏は、この県民歌が誕生したことに感激の意を表しました。

作曲は日本コロムビア専属の古関裕而が担当しましたが、詳細な経緯は資料が残っていないため明確ではありません。初代の歌詞は、戦争終了後の1945年以降、演奏が控えられるようになり、1964年には新たな県民歌が制定されたことで廃止されました。

初代の県民歌は、当時の歌唱者中野忠晴の名によりSPレコードとしてレコーディングされ、B面には奥山貞吉氏の編曲による行進曲バージョンが収録されました。2020年には、作曲者の古関裕而をモデルにしたNHKの連続テレビ小説『エール』の放送にあたり、その関連資料が収集されることが試みられており、現在は当時の録音がデジタル化されています。

歌詞と著作権

初代の宮崎県民歌の歌詞は著作権の保護期間が満了し、2005年からはパブリックドメインに移行しています。旋律自体は日本コロムビアの管理楽曲に属し、演奏の際には申請が必要です。

このように、宮崎県民歌は地域の文化やアイデンティティを象徴する重要な楽曲であり、県内外で広く愛され続けています。今後も県民の心を一つにする歌として、さまざまな場面で歌われていくことでしょう。

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