宮崎辰雄

宮崎辰雄：神戸の都市開発を牽引した革新市長

宮崎辰雄（1911年9月3日 - 2000年2月22日）は、日本の政治家であり、第13代神戸市長を務めました。勲一等瑞宝章を受章。神戸市山岳連盟会長としても活動しました。

生涯と業績

兵庫県立長田高等学校の前身である旧制神戸三中から旧制姫路高校に進学するも、全校ストライキに参加し放校処分。その後、立命館大学専門部法学科を卒業後、神戸市役所に入庁。助役を経て、1969年から5期20年にわたり神戸市長を務めました。また、財団法人神戸都市問題研究所の創設者・理事長としても活動しました。

市長就任当初は、自民党、社会党、公明党、民社党の支援を受けましたが、1973年の市長選では自民党が支持を撤回。日本共産党の推薦を受け、再選を果たし革新自治体となりました。

この時期、宮崎は神戸空港建設への反対や「反安保、反基地、反自衛隊」を表明。しかし後に、「実務家としては革新は現実離れしていた」と述べ、政治的イデオロギーを排し、公約の実行に尽力しました。1977年以降は自民党や新自由クラブも加わり、ほぼ全政党が与党となる異例の体制を築きました。

都市経営

「最小の経費で最大の市民福祉」を基本理念とし、六甲山を削り、その土砂でポートアイランドや六甲アイランドなどの人工島を造成する事業を推進。神戸の景観を大きく変貌させました。1981年には神戸ポートアイランド博覧会（ポートピア'81）を成功に導きました。外国金融機関からの起債を中心に、国からの補助金に頼らない独自の行政手法は「株式会社神戸市」と称され、国内外から注目を集めました。

一方で、登山家であった宮崎の開発優先の手法は、自然破壊を招いたとして批判も受けました。しかし、神戸牛と並ぶ「神戸ワイン」の産出を発起するなど、神戸の発展に貢献しました。

国際交流と非核政策

1972年には訪中し、周恩来首相と会談。翌1973年に天津市との間で日本初の友好都市協定を締結しました。1975年には、神戸市議会が核兵器搭載艦船の入港拒否を決議し、神戸市港湾局が証明書のない艦船の入港を許可しない「非核神戸方式」を確立。宮崎はこれをイデオロギーではなく、非核三原則を現実化する手続きであると説明しました。

晩年と評価

退任後の1995年に発生した阪神・淡路大震災では、宮崎時代の経済優先の市政が災害対策を軽視したとの批判も出ました。しかし宮崎は、「神戸に地震が来るとは思わなかった」「開発地域は被害が少なかった」と反論しました。

2000年2月22日、88歳で死去。

著書

神戸を創る - 港都五十年の都市経営（河出書房新社、1993年）
私の履歴書 - 神戸の都市経営 -（日経事業出版社、1989年）
欧米地方自治権の研究（勁草書房、1979年）
都市の経営 : 市長に何ができるか（日経新書）（日本経済新聞社、1979年）
あすの都市経営（対談集）（勁草書房、1978年）
市民都市論（日本評論社、1971年）
* アラスカの処女峰（宮崎辰雄編）（兵庫県山岳連盟、1970年）

宮崎辰雄は、神戸の都市開発に大きな足跡を残した一方で、その手法に対する評価は分かれています。しかし、神戸の発展に大きく貢献したことは間違いありません。

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