宮川久次郎

宮川久次郎

宮川久次郎（みやかわ きゅうじろう、文久2年2月3日 (1862) - ?）は、明治時代に日本の外交官、銀行家として活躍した人物です。東京府（現在の東京都）出身で、その生涯は多岐にわたる分野で足跡を残しました。

人物

宮川久次郎は、高等商業学校（現在の一橋大学）を卒業後、外務省に入省しました。当初は外交官としてのキャリアをスタートさせ、その卓越した能力から、在広東副領事、在香港副領事、在ニューヨーク一等総領事など、重要な役職を歴任しました。特に海外での領事としての活動は、当時の日本外交において重要な役割を果たしました。

また、教育者としての側面も持ち合わせており、母校である高等商業学校では、森有礼文部大臣の上申により、交際官試補を兼任して教鞭を執り、統計学の講義を担当しました。この時期には、若き才能の育成に貢献しました。

外交官としての職を退いた後は、実業界に転身し、横浜正金銀行の副支配人などを務め、銀行家としてもその手腕を発揮しました。1900年には、その功績が認められ、正六位に叙せられました。

さらに、1908年に発生した申酉事件では、成瀬隆蔵、図師民嘉、村瀬春雄、八十島親徳らと共に大学問題実行委員に就任し、文部大臣らを説得することで母校の危機を救いました。この活動は、彼の母校への深い愛情と、教育への情熱を示すものでした。

家族

宮川久次郎の家族構成は以下の通りです。

父：宮川彦五郞 - 幕臣。維新後に徳川氏に従い静岡へ移住しました。
兄：宮川盛 - 練塀尋常小学校（後の台東区二長町小学校）校長を務めました。長男の宮川三一は東京帝国大学工科大学電気工学科を卒業後、逓信局の技師となりました。また、宮川盛の妻の姪の夫に男爵井上清純がいます。
前妻：とめ(1880-) - 日本銀行理事・与倉守一の養女です。
長男：久雄(1899-)
後妻：宮川ヒサ（1878-） - 宇都宮藩元家老で河内郡郡書記の大羽英順の四女。女子高等師範学校を卒業しています。夫の死後、長男（前妻の子）が家督を相続したため、遺産分与は受けずに分家し、女学校教師として4人の実子を育てました。1931年から1948年まで桜蔭高等女学校の第二代校長を務めました。また、講道館に正式入門を許された初の女性としても知られています。
長女：田村千枝子(1907-) - 満州国大連税関長の田村敏雄の妻です。夫の敏雄は京都府出身で、東京大学卒業後、大蔵省に入省し、大連税関長、満洲国浜江省次長を経て、戦後は国際善隣クラブ理事、池田勇人首相の後援会「宏池会」の代表を務めました。
三男：宮川三雄(1909-) - 東北帝国大学法文科を卒業後、東京中央放送局に入社。アナウンサー、編成、企画を経て、技研テレビ実験班の責任者となりました。テレビ放送70周年記念NHKドラマ「テレビとはあついものなり〜放送70年TV創世記〜」では、俳優の大倉孝二が宮川三雄を演じました。
四男：宮川岸雄(1911-) - 東京工業大学を卒業後、逓信省工務局に入り、後に郵政省電波監理局長となりました。岳父には抜山平一がいます。
五男：宮川昌雄(1914-1960) - 東京帝国大学経済科を卒業後、海軍主計大尉となりました。
二女：喜代子(1914-) - 宮川昌雄と同月同年の生まれで、東京女高師保育実習科を卒業しました。

栄典

* 1888年：レオポルト勲章シュヴァリエを受章しました。

このように、宮川久次郎は外交、教育、金融の各分野で重要な役割を果たし、その一族もまた、多岐にわたる分野で活躍したことがわかります。彼の生涯は、明治という激動の時代を生き抜いた人々の縮図と言えるでしょう。

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