宮村定男

宮村定男（みやむら さだお）は、1915年（大正4年）2月19日に現在の新潟県新発田市で生を受け、2011年（平成23年）11月25日に96歳でその生涯を終えた日本の著名な細菌学者であり医師です。医学博士号を持ち、新潟大学名誉教授の称号を贈られました。

新潟の地で育った宮村氏は、新潟中学校を四年で修了後、新潟高等学校を経て、1938年（昭和13年）3月に新潟医科大学を卒業しました。卒業と同時に新潟医科大学細菌学教室に入局し、宮路重嗣教授のもとで副手、助手を務め、その後伊藤泰一教授に引き継がれ、1943年（昭和18年）1月には医学博士号を取得しました。

医学界でのキャリアを着実に積み重ね、1943年（昭和18年）10月には同細菌学教室の講師に昇任。翌年には新潟医科大学附属医学専門部の教授となり、1946年（昭和21年）には新潟医科大学細菌学教室の助教授に着任します。学制改革を経て1951年（昭和26年）に新潟大学医学部細菌学教室の助教授となり、1961年（昭和36年）6月には同教室の第3代教授に就任しました。

教授として教育・研究を牽引する傍ら、大学運営にも深く関わりました。1969年（昭和44年）には新潟大学の評議員となり、1973年（昭和48年）10月には新潟大学医学部の第10代学部長を務めるなど、指導的な役割を果たしました。

国際的な視点も持ち合わせ、1963年（昭和38年）には3カ月間アメリカに滞在し、医学教育や研究施設の視察を行いました。また、1974年（昭和49年）には海外協力事業団の派遣団長としてタイ、インド、スリランカを訪れ、大学や研究所で電子顕微鏡などの操作技術を指導するなど、技術協力にも貢献しました。

長年にわたる新潟大学での貢献を終え、1980年（昭和55年）4月1日に定年退官し、同年6月には新潟大学名誉教授の称号が授与されました。退官後もその情熱は衰えず、1981年（昭和56年）には新潟薬科大学教授、新潟医療技術専門学校校長に就任。教育活動を続け、1985年（昭和60年）に新潟薬科大学を退職し、同大学名誉教授となりました。さらに1994年（平成6年）からは学校法人新潟科学技術学園の理事長を務め、1996年（平成8年）にこれらの役職を退任するまで、新潟の教育・科学技術振興に力を尽くしました。

研究者としては、化学療法、特に薬剤耐性の機構に関する研究に重要な貢献をしました。この研究成果は高く評価され、1969年（昭和44年）には第22回新潟日報文化賞（科学部門）を受賞しています。また、その功績に対して、1988年（昭和63年）には勲二等瑞宝章が贈られ、逝去後には従三位に叙されました。

医学・教育分野以外でも多才ぶりを発揮し、バイオリンと水泳を趣味としていました。特に新潟大学管弦楽団の名誉団長を務めるなど、文化活動にも造詣が深かったことがうかがえます。

著書に『恙虫病研究夜話』、訳書にメチニコフの『近代醫學の建設者』があり、学術的な貢献だけでなく、医学思想の普及にも努めました。長男の宮村達男氏は医師、ウイルス学者となり、国立感染症研究所長などを歴任するなど、医学の道は次の世代にも引き継がれています。

宮村定男氏は、生涯を通じて医学の発展と人材育成に尽力し、新潟の地域社会にも深く貢献した人物として、その功績は今なお記憶されています。

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