宮武京一

宮武京一：香川県柔道界の礎を築いた武道家

宮武京一（みやたけ きょういち、1882年10月6日 - 1972年3月26日）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の柔道家です。講道館9段、大日本武徳会範士という称号を持ち、香川県における柔道の普及と発展に多大な貢献をしました。

無相流柔術を礎とした柔道人生

1882年、香川県綾歌郡飯野村（現・宇多津町）で生まれた宮武は、幼少の頃より父である宮武浪次郎から無相流柔術を学びました。父は無相流の達人として知られ、京一はその薫陶を受けて武道の基礎を築きました。16歳になると高松に出て無相流の傑物・松井三蔵の元で一層修業に励みました。

当初は柔道の専門家を目指していたわけではありませんでしたが、1903年に大日本武徳会の柔道甲種講習生となり、磯貝一、永岡秀一、佐村嘉一郎といった後の講道館10段に師事し、本格的に柔道を学び始めます。深夜に磯貝一と共に松の大木に向かって一人打込みをしたという逸話も残っています。

1910年には講道館に入門し、無相流で培った寝技に加え、払腰や内股、支釣込足、払釣込足といった立技にも磨きをかけました。その実力は高く評価され、1912年には講道館3段位を許されています。

香川県柔道界への貢献

1911年に郷里へ帰った宮武は、大日本武徳会香川県支部主任教授、香川県警察部師範、旧制高松中学校、香川県師範学校など、数々の学校で柔道教師を歴任し、後進の指導に尽力しました。その指導を受けた門下生は数知れず、島利吉、村井真一、吉本官次といった名選手を育て上げました。

門下生からは「お父つぁん」と慕われ、父性愛に満ちた人柄で多くの人々から敬愛されました。また、香川武徳殿の建設にも尽力するなど、地域社会への貢献も忘れませんでした。

1914年には香川県柔道有段者会（後の香川県柔道連盟）を発足させ、初代会長に就任。青少年の育成の場として修道館道場を開設するなど、香川県における柔道の普及と発展に大きく貢献しました。

柔道家としての活躍

宮武自身も柔道家として活躍し、大日本武徳会の武徳祭には1904年から1944年まで毎年出場しました。1932年には全日本選士権大会に出場し、その勇名を全国に轟かせました。

1945年には大日本武徳会柔道範士号、1958年には講道館9段位を受け、その功績が認められました。

現代柔道への提言

宮武は、現代柔道の「スポーツ化」を憂い、武道の本質である礼節を重んじるべきだと説きました。また、体格差を言い訳にせず、 ছোট 体格でも بڑے 相手を倒す術を追求すべきだと主張しました。立技・寝技を両立させることの重要性も説いています。

晩年と遺産

1972年に89歳で亡くなるまで、70年近くもの間、香川県で柔道家たちの指導にあたりました。その功績から、1965年には体育功労者として文部大臣表彰と勲四等瑞宝章を授与されています。

宮武京一は、香川県柔道界の発展に大きく貢献しただけでなく、武道家としての精神を後世に伝えた偉大な人物として、その名は永く語り継がれることでしょう。

讃岐国無相流新柔術免許皆伝
中条流四天王 宮武浪次郎・京一師範碑が香川県綾歌郡宇多津町にあります。

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