宮田為益

宮田為益（みやたためます）は、明治33年（1900年）10月11日、島根県能義郡広瀬町（現在の安来市）に生まれました。東京帝国大学法学部法律学科を卒業後、1926年、内務省に入省。

その後のキャリアは、地方行政における要職の連続でした。佐賀県での勤務を皮切りに、高知県、山口県、和歌山県、兵庫県、茨城県と各地の県庁で、警察、学務、商工、人事など幅広い分野の課長や部長を歴任します。その間、県庁の幹部として行政運営に携わり、多様な経験を積んでいきました。

特に、兵庫県では知事官房主事兼秘書課長、人事課長と重要なポストを歴任し、県政の中枢で手腕を発揮したことがうかがえます。その後も、厚生省書記官・薬務課長、山梨県書記官・総務部長兼経済部長、神奈川県官房長、厚生省大臣官房会計課長、同衛生局資材課長など、中央省庁でも重要な役割を担いました。

1945年4月、宮田は岩手県知事に就任。終戦という激動の時期に県政を担うこととなります。しかし、1946年1月には知事を辞任し、退官しました。その後、公職追放の処分を受けました。

官僚としてのキャリアを終えた後も、宮田の社会貢献は続きます。製薬会社顧問や厚生省薬事審議会委員などを務めた後、1953年11月には全国国民健康保険団体中央会（後の国民健康保険中央会）専務理事に就任。国民健康保険の国庫補助法制化に向けて尽力しました。これは、国民の健康を守るための重要な制度改革であり、宮田の強い信念と社会への貢献意欲が表れています。

国民健康保険制度の充実と発展に貢献すべく尽力した宮田でしたが、1955年7月2日、在職中に病気のため死去しました。54歳でした。

宮田為益の経歴は、日本の地方行政と厚生行政における重要な役割を担った人物としての足跡を克明に示しています。地方から中央へと活躍の場を広げ、常に時代の要請に応えながら、行政の近代化と国民福祉の向上に貢献しようとした、その姿勢は高く評価されるべきでしょう。特に、国民健康保険制度の確立に尽力したことは、日本の社会保障制度発展における大きな功績として、後世に語り継がれるべきものと言えるでしょう。彼の功績は、単なる行政官としての枠を超え、日本の社会福祉制度の発展に多大な影響を与えたものだったのです。

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