宮田節子

宮田節子（みやた せつこ）

宮田節子（1935年 - 2023年）は、日本の歴史学者で、朝鮮史を専門としていました。旧姓は大西節子。早稲田大学で教鞭を執り、学習院大学でも客員研究員を務めました。

生涯

千葉県に生まれた宮田氏は、早稲田大学第一文学部を卒業後、明治大学大学院文学研究科博士課程を修了しました。1959年には朝鮮史研究会の創設に携わり、後に会長を務めるなど、朝鮮史研究の発展に尽力しました。2011年には韓国日本学会から学術賞を受賞しています。
2023年9月27日、老衰のため87歳で亡くなりました。

研究活動と主張

宮田氏は、日本の朝鮮植民地支配を批判する立場を明確にし、自由主義史観研究会や新しい歴史教科書をつくる会を批判しました。また、日韓併合の不当性を主張する声明にも積極的に参加しました。

特に、平凡社刊『朝鮮を知る事典』に掲載された慰安婦に関する記述は、宮田氏が執筆したものであり、後に朝日新聞の慰安婦報道問題に発展するきっかけとなりました。この記述は、千田夏光の『従軍慰安婦』を参考にしたものでしたが、「女子挺身隊」と「慰安婦」の混同があったと指摘されています。この点について、下川正晴は宮田氏の記述を厳しく批判し、「日本の朝鮮史研究の水準が問われる」と述べました。

1965年には、『日・朝・中三国人民連帯の歴史と理論』という共著書を日本朝鮮研究所から刊行しました。この書籍は、当時の日韓基本条約に反対する立場から、韓国を含めない「日朝中」という連帯を主張するものでした。

著書

宮田氏は、以下の著作を執筆しました。

『朝鮮近代史の手引』（日本朝鮮研究所、1966年）
『朝鮮民衆と皇民化政策』（未来社、1985年）
『創氏改名』（明石書店、1992年）
『歴史と真実―いま日本の歴史を考える』（筑摩書房、1997年）
『友邦文庫目録』（勁草書房、2011年）

宮田節子の研究に対する評価

宮田節子の研究は、日本の朝鮮史研究において重要な位置を占めていますが、その主張には批判的な意見も存在します。

特に、慰安婦問題に関する記述は、歴史認識をめぐって大きな論争を引き起こしました。宮田氏の記述が朝日新聞の報道に影響を与え、結果として、新聞報道に対する批判と歴史研究者の責任問題にまで発展しました。

下川正晴は、宮田氏の歴史認識を「贖罪史観」と批判し、その研究姿勢に疑問を呈しました。

宮田節子の研究は、朝鮮史研究の深さと複雑さを改めて浮き彫りにし、歴史研究における多角的な視点の重要性を示唆しています。

参考文献

[早稲田大学]]韓国学研究所. 第3回定例研究会. [http://www.wiks.jp/blog/2014/06/24/%E7%AC%AC3%E5%9B%9E%E5%AE%9A%E4%BE%8B%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A/

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