宮脇書店

株式会社宮脇書店

香川県高松市に本拠を構える株式会社宮脇書店は、「本なら何でもそろう」を掲げ、全国に店舗を展開する日本の大手書店グループです。その店舗数は国内の書店チェーンとしては最大規模を誇り、特に本社所在地の香川県においては、長きにわたり地域に根差した唯一の総合書店として知られています。

事業と特徴

主な事業内容は書籍の小売販売と、傘下のフランチャイズ店舗を管理するフランチャイザー業務です。登記上の本店は創業の地でもある高松市丸亀町の店舗と同じ場所にありますが、販売部門を除く主要な本社機能は、市内の卸センターに集約されています。宮脇書店の大きな特徴の一つに、他の書店チェーンと比較して比較的長い営業時間があります。多くの店舗が夜10時まで営業しており、一部の店舗ではさらに遅い夜11時や深夜0時まで営業しているケースも見られます。

また、その出店戦略も特筆すべき点です。大型書店を主体とするチェーンが多い中、宮脇書店は陳列スペースが限定された中型店舗を全国各地に数多く展開することで店舗網を広げてきました。この戦略により、利用者は自宅や職場の近くで手軽に書籍を入手できる利便性を享受できる一方で、品揃えの中心は新刊や需要の多い書籍となり、専門性の高い書籍は限られるという側面も指摘されています。地元紙のコラムでは、商品数は豊富ではないものの、長い営業時間と店舗数の多さから、コンビニエンスストアを利用するような感覚で使える点に言及されています。

地域貢献としては、2008年以降、香川県立図書館の一部のカウンター業務を受託しています（参考調査業務を除く）。さらに、経営が困難になった他の書店チェーンへの支援も行っており、2009年には明林堂書店（大分県）、2010年には丸三書店（愛媛県）の事業再生をサポートし、それぞれの店舗網の一部をグループに加える形で、新たな地域への展開も進めました。

沿革

宮脇書店の歴史は古く、1877年3月に宮脇開益堂として、元高松藩士の宮脇藤太氏によって現在の本店の場所で創業されました。太平洋戦争中の1945年7月4日、高松空襲により店舗は焼失するという大きな被害を受けましたが、終戦を経て1947年8月27日に株式会社として再出発を果たしました。事業の拡大に大きく貢献したのが、創業者の孫にあたる宮脇富子氏です。1965年に父親の後を継ぎ、店長兼社長に就任して経営の舵を取り、積極的な多店舗展開を推し進めました。1971年には香川県内の他の都市へ、1979年には高松市内に初の郊外型店舗を出店しました。1980年には卸センターを開設し物流体制を強化、そして1981年には、書籍小売業界では全国初となるフランチャイズ制度を導入し、事業をさらに大きく拡大していきました。

店舗網

宮脇書店は、明林堂書店と新丸三書店の店舗を含めると、全都道府県に店舗を構える広範なネットワークを有しています。店舗の規模は大小様々で、広大な総本店を筆頭に、「本店」「○○本店」と呼ばれる大型店舗、そして多数の中・小型店舗が存在します。かつては小・中型店舗がその大部分を占めていましたが、近年は地域の中核となる大型店舗の出店にも注力しており、これらの店舗には都市名を冠した「○○本店」の名称が付けられています。2024年6月時点では、宮脇書店本体が209店、明林堂書店が57店、新丸三書店が3店の合計269店舗を展開しています。

主要な店舗としては、創業の地であり登記上の本店でもある高松市の本店があります。商店街に位置する都市型店舗で、かつて近隣に再出店した大型書店に対抗し改装、品揃えを強化しました。香川県高松市朝日新町にある総本店は、卸センターに隣接する広大な郊外型店舗であり、グループの旗艦店としての役割を担っています。以前は書籍展示施設として開設されましたが、規制緩和を経て小売を開始しました。「本のテーマパーク」をコンセプトとし、かつては店内に神社や飲食店、遊戯施設が設けられるなど、ユニークな試みを行っていました。屋上には観覧車もありましたが、老朽化により営業を終了し撤去されました。全国各地にも「○○本店」という名称の大型店舗を展開しており、青森駅ビル内の青森本店（東北地方最大級の学習参考書コーナー）、秋田県内最大規模の秋田本店、香川県外で初めて「○○本店」を名乗った岡山県の岡山本店、香川県内で初めて「○○本店」を名乗り方位名を冠した南本店（高松市）、その他、四日市、徳島、新居浜、今治、佐賀（現在は閉店）など、各地の主要なショッピングセンターや幹線道路沿いなどで地域の中核店として機能しています。

その他

「本なら何でもそろう」というキャッチフレーズは、単なる謳い文句に留まらず、かつては品切れや絶版となった書籍についても、出版社の在庫や返品された書籍を探し出し、顧客へ届ける努力を行うという逸話がありました（現在は全ての店舗で行われているわけではありません）。この言葉は、故宮脇富子社長の座右の銘でもありました。シンボルマークは、同じ高松市に本社を置くスーパーマーケット、マルナカと同じデザイナーが手掛けており、マルナカの一部店舗内に宮脇書店が出店しているケースもあります。決済方法については、現金以外に一部店舗で電子マネーに対応しており、特に高松市内の店舗では交通系ICカード「IruCa」が利用可能なほか、ショッピングセンター内の店舗ではそのSCで使える電子マネー（WAON等）も利用できる場合があります。クレジットカード対応は一部の大型店などに限られています。また、同社の店舗は過去に映画『UDON』やテレビドラマ『仮面ライダー電王』の背景として登場したことがあります。2015年から2020年には、従業員の推薦に基づいて選出する独自の文学賞「ミヤボン」を実施していました。かつてはアニメショップ「ゲーマーズ」のフランチャイジーとして、「ゲーマーズ高松店」を運営していた時期もありましたが、現在は撤退しています。

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