宮部金吾記念館

宮部金吾記念館

宮部金吾記念館は、北海道札幌市中央区にある北海道大学植物園内に位置し、同植物園の初代園長である宮部金吾の遺品を展示している博物館です。この記念館は、宮部金吾が札幌農学校の教員として植物学の発展に尽力し、初代北海道大学植物園長として活躍した足跡を辿る上で、非常に重要な役割を果たしています。

概要

記念館の建物は、元々北海道大学附属植物園庁舎（旧札幌農学校動植物学教室）として1901年に建設されました。設計は、当時新進気鋭の建築家として知られていた中條精一郎が担当しました。建物はその後、1935年と1942年に改修工事が行われ、一部が取り壊されたり、現在の場所に移築されたりするなどの変遷を経て、1992年9月に宮部金吾記念館として一般公開されました。2000年4月には、建物自体が国の登録有形文化財に登録されています。

沿革

1901年（明治34年）：農学部本館の南に札幌農学校動植物学教室として建設。
1935年（昭和10年）：農学部本館の改築工事に伴い、西半分が取り壊される。
1942年（昭和17年）：東半分が植物園内に移築（実際には解体部材を使い新築）。植物園庁舎として使用。
1991年（平成3年）：主棟にあたる北半分が取り壊され、東翼部のみとなる。
1992年（平成4年）9月：宮部金吾記念館として一般公開開始。
2000年（平成12年）：建物が登録有形文化財に登録。

展示物

記念館には、宮部金吾の授業ノートや植物採集記録、愛用していた顕微鏡などの遺品が展示されています。これらの品々は、宮部金吾の研究活動や教育活動を垣間見ることができる貴重な資料です。また、没後50年にあたる2001年には、宮部金吾がハーバード大学留学中に婚約者である坂従保子に送った英文の手紙や、宮部金吾とその系譜の研究者が収集した北海道、千島、樺太の膨大な植物標本の一部が公開されました。これらの資料からは、宮部金吾の私生活や研究に対する情熱を感じ取ることができます。

さらに、有島武郎がスイス滞在中に出会った女性、ティルダ・ヘックらと撮影した写真も保存されています。有島武郎は宮部金吾の教え子の一人であり、ティルダ・ヘックが来札した際に、記念として宮部金吾に送られたものと考えられています。また、現在のクラーク像の原型となった小さなクラーク像も展示されており、見どころの一つとなっています。

宮部金吾記念館は、宮部金吾の業績を称えるとともに、北海道の植物学の発展に貢献した人々の歴史を伝える貴重な場所です。植物や歴史に興味のある方はもちろん、多くの人々にとって訪れる価値のある場所と言えるでしょう。

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